コロナに挑むダチョウ 学長が見いだしたワケわからん力

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佐藤秀男
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 兵庫県神戸市の西端、約1万坪の広大な丘陵地に「ダチョウ牧場」はある。

 京都府立大学長で獣医師の塚本康浩さん(52)は大阪府立大の助手だった30代の前半、ここに通い出した。もやしの製造・販売会社が飼い、売り物にならないもやしを、えさとして与えていた。それを知って研究者の血が騒いだ。

 「地球上で最も大きい鳥」とされるダチョウの群れを観察し、誰も気づかなかった行動パターンを見つけ出せないか。それを論文にまとめてやろう――。

 自宅のあった大阪府高槻市から車で駆けつけ、5時間でも6時間でも飽きることなく眺めた。しかし5年かかっても、動物行動学的な観点から見て、何ら規則性は見いだせなかった。

 下した結論。ダチョウは「アホ」である。

 体長2・5メートル、体重160キロ前後の「飛べない鳥」は、脳みそが猫と同じくらいの大きさだ。たぶん、ビックリするほど何も考えずに生きている「愛らしい鳥」なのだ。

 研究者として働き盛りの5年間を棒に振りかけた。だが、このときの経験がやがて、実を結ぶ。(佐藤秀男)

回復力抜群 感染症にもかからない

 新型コロナウイルスが世界で猛威を振るう中、ダチョウの秘めたるパワーが再び注目されている。塚本さんは、自身が経営する「オーストリッチファーマ」(京都府精華町)で、約500羽のダチョウを所有する。ダチョウが産む卵から、新型コロナウイルスに反応する抗体を大量に取り出すことに成功した。サルの腎臓の培養細胞を使った実験で、効果を確認したという。

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 抗体を不織布のフィルターに…

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