開催できる?コロナ禍の年末「第九」 団員対立の種にも

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杉浦幹治 編集委員・吉田純子
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 あちこちで「第九」が響かない、かつてない年末がやってくる。演奏する人や聴く人の数、練習に要する時間。「密」が生む幸福の象徴であり続けた「第九」はコロナ禍でどうなるのか。

合唱32人、飛沫防止に「秘策」

 合唱メンバーの32人、全員の鼻から胸元までが真っ白な布で覆われていた。

 11月5日、名古屋市愛知県芸術劇場で開かれた演奏会で、「第九」の最終楽章が上演された時のこと。「秘密結社みたいでごめんなさいね」。指揮者の山田和樹さんが語りかけ、客席の空気をなごませる一幕もあった。

 白い布の正体は「歌えるマスク」。日本を代表するプロ合唱団、東京混声合唱団が制作した。

 口と鼻の部分が大きく開いたマスクの上に長い布を二重にかけることで、飛沫(ひまつ)を防ぐ仕組みだ。山田さんは「音量や迫力には欠けるけれど、少人数になったことで、ベートーベンの意図を、より繊細に感じとっていただけたのでは」。

 満席がほぼ約束される「第九」公演は、日本のプロのオーケストラにとって、欠かすことのできない「年末の餅代稼ぎ」だ。特に今年はベートーベンの生誕250年という記念の年。音楽業界では、コロナ禍に陥ったばかりの4月から「今年は『第九』ができるのか」と憂える声が出ていた。

コロナ禍はアマチュア演奏家の活動にも大きな影響をもたらしています。交流サイト「オケ専♪」の協力でアンケートを実施すると、多くの切実な声が寄せられました。おもな声を末尾に掲載しています。

 一人一人の力量が高いプロの…

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