逆転有罪でも「やっぱり悔しい」 前橋・高校生死傷事故

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張春穎
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 前橋市で2018年、自転車で登校中の女子高校生2人が車にはねられて死傷した事故で、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)罪に問われた川端清勝被告(88)に対し、東京高裁は25日、禁錮3年の判決を言い渡した。逆転有罪判決を受け、亡くなった高校生の両親が報道各社に書面でコメントを寄せた。娘には、こう報告するという。「待たせてごめんね。やっと決まったよ。でも、やっぱり悔しいね」

 一審の前橋地裁は無罪判決だった。服用中の薬の副作用で事故直前に意識障害に陥った可能性があるとして、事故の予見性を否定していた。亡くなった太田さくらさん(当時16)の両親は「あまりに悔しく、つらい結果であったため、報告できなかった」という。

 一転して事故を起こす予見可能性があったと認めた控訴審判決について、両親は「やっと被告の責任を認めてもらえた。一審判決で疑問に思っていた多くの点について、納得のいく答えを出して頂けたことに感謝しています」とした。

 ただ、被告側の主張が一審は無罪、控訴審は有罪と変わったことには「色々と考えましたが、その本当の理由はわかりません」。「一審で被告本人が罪を認めていれば、ここまで長く時間がかからなかったのでは」とも。

 事故のあった18年1月9日朝、さくらさんは普段より起床が少し遅れ、急いで学校に向かったという。「どうしてもう少し早く起こしてあげなかったのか」。そう自らを責める日々が続いているという。「考えるたびに、目の前が真っ暗になり、暗く深い海に引きずりこまれるような気持ちになります」

 悲しみ、怒り、どうしようもないやり場のない気持ち、刑事裁判での悔しい思い、何もできないことのもどかしさが常にあったという。「どこに怒りをぶつければいいのか分からない」。ただ、被告に対しては「身勝手な行動によってさくらを失ったので、一生許すことはできない」。

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 被告の運転を止めようとして…

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