料理しながら安倍外交を語ったら 咀嚼し血肉化する政治

有料記事アナザーノート

編集委員・秋山訓子
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アナザーノート 秋山訓子編集委員

 「政治は生活」。以前どこかの政党がそんなキャッチフレーズを使っていた。私自身もずっとそう思ってきたし、そうも書いてきた。

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 政治は永田町や外交関係、選挙だけじゃない。日々食べるもの、着るもの、暮らしのすべてに政治は関係ある。だから政治は遠くない……といっても、これがなかなか響かない。うーん、どうしたものやら、と思っていたら、「これ! こういうことだよ!」という動画を見つけた。

 共産党の山下芳生参院議員がツイッターなどで発信している動画「よしキッチン」だ。

 山下議員が自室の台所で料理をしながら政治を批判したり、解説したりするというもの。たとえば、昨夏の1回目はこんなふうだ(https://www.youtube.com/watch?v=7h1-3XGocuI別ウインドウで開きます)。

 「安倍外交に憤りながら夕食をつくっています」

【動画】議員が料理しながら政治を語ってみたら…アクセス急増=山下芳生・参院議員提供

 とんとんとん……鶏肉に調子よくフォークで穴をあけながら(秋山注:食感を良くして、調味料をしみこませるためですね。念のため)「神経がたかぶったときに、しずめるために料理をすることにしています。……今日のフラストレーションをためた話題は、河野外務大臣北方領土の返還は二島でいいんだといったことですね。びっくりしました。いいんでしょうか」

 合間にしゃっしゃっと塩、こしょうを回し振る。

「しっかり対外交渉しないで二島で結構、というのはあまりにも腰砕けではないかと思いますね。外交の安倍、というけど、外交の安倍のもとで国益が次々損なわれているんじゃないですか」

 鶏肉をトレーにいれて「蒸し鶏を作っています。蒸し鶏ときゅうりとそうめん」。ここでツイッターの時間切れ、2分20秒で終了。

 手際もよく、日頃から料理をしているんだろうなとわかる。そして語る言葉もわかりやすい。何というのか、お料理しながらだと、言葉が生き生きとしてすんなりとこちらの身体に入ってくるのだ。まるで普段の食事をいただく時のように。

 その他、キノコ炒めの下ごしらえをしながら安倍首相の野党へのヤジに怒り、さぬきうどんをゆでて冷ましながら大阪でのコロナ重症患者急増を危惧し、ポトフのためのじゃがいもの皮をむきながら学術会議の対応に疑問を呈し、時にはていねいにコーヒーを淹(い)れながら国会を早く閉じたことに憤り、焼きそばを作りながら、ピーマンをちぎりつつ……。

国会での悔しい思いぶつけ

 山下議員に会いにいった。どうしてこれを作ろうと?

ここから続き

 「元はね、昨年の参院選を控…

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