第5回「バイデン待望論」 中国、大統領選前はあえて封印?

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広州・香港支局長 奥寺淳
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広州・香港支局長 奥寺淳

 「トランプ氏の勝利をまだあきらめていない」

 米大統領選の投票日から10日近くたったころ、中国のビジネスマンがささやいた。米国の主要メディアはその数日前に、「バイデン元副大統領が当選確実」と流していた。それでも「トランプ氏でないと中国は変わらない」という。

 大統領選の前には、ある中国政府関係者も「トランプ氏の再選を願っている」と話していた。「中国に対して強硬に接することで、共産党の内部が割れ、変化が起こるかもしれない」。そんな期待を抱いていた。

 中国の体制を変えて欲しいと主張する人は、この国では正直珍しい。この2人は決して反中国ではない。むしろ祖国への愛はかなり強い。

 ただ、あらゆる異論を封じ、国を挙げて民族の優越性をあおる風潮から、「民族主義があまりに深刻」だと感じているという。いまの中国は民主主義を取り入れるどころか、「中国の特色ある社会主義」にこそ優位性がある、との自信を深めている。

 この政府関係者はいう。「私のような考え方を持っている人は、ほとんどいない。中国人の95%は今の体制に全く疑問を持っていない。それが現実です」

五中全会の精神、学ぼうキャンペーン

 その体制を率いる習近平(シーチンピン)指導部は大統領選前から、より急進的に独自路線を歩もうと腹をくくっていたようにみえる。もう米国には期待しない。「自力更生」でいく。そんな決意だ。

 それを示す大きな動きがあった。中国共産党中央委員会が10月下旬に開いた第5回全体会議「五中全会」だ。

 来年からの5カ年計画では「…

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