ダム容認方針に抗議「県民集会」

白石昌幸
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 熊本県川辺川へのダム容認方針に抗議する市民団体が22日、熊本市中央区の市国際交流会館ホールで「7・4球磨川水系大水害を考える県民集会」を開いた。約300人が集まり、「ダムでは命も清流も守れない」などと訴えた。

 集会では、水害の被災者が体験談を報告。消防署員からロープで救助されたという男性は「まだみんな暮らしを取り戻すために必死の状況のなか、ダムを造るという論議が進んで来た。復興のために結束が必要なときに、分断をもたらすダムを急いで造らなくてはいけないのか」と発言した。

 また、熊本県立大の中島熙八郎名誉教授からは「必要なかさ上げや高台移転ができればダムが無くても安全なまちづくりは可能。復興を担うのは被災した地域の人。その意見を必ず入れて具現化し、住民決定による復興を手にすることが課題だ」などと指摘した。

 集会では「急ぐべきは被災地の復旧・復興であり、被災者の生活支援。住民の望まないダムを押しつけることは税金の無駄遣いで、再び流域に対立と混乱をもたらす」と訴えるアピール文を採択。集会終了後、参加者らは「ダムで川辺川を壊すな」「ダムで命は守れない」と書かれた横断幕やプラカードを掲げて市中心部をパレードした。

 市民団体の中島康代表は「知事が『ダムは民意だ』と公言しており、今回のダム反対運動は非常につらい状況になっている。この集会をダム反対運動の口火にしたい」と話していた。(白石昌幸)

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