コロナでインフル患者激減「同時流行はない」三つの理由

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今直也
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 今冬は、新型コロナインフルエンザが同時流行するのではと言われてきた。だが新型コロナ患者は急増している一方で、インフルの患者数は過去3年の平均の100分の1未満にとどまる。なぜこんなに少ないのか。専門家は「三つの理由」を挙げる。

ウイルスが干渉しあう?

 厚生労働省によると、全国約5千カ所の定点医療機関から報告された11月2~8日のインフル患者数は24人。一つの医療機関の1週間あたりの患者数を示す、定点当たり報告数は0・01を下回り、流行入りの目安とされる1にはほど遠い。過去3年と比べると今年は圧倒的に少ない=グラフ。

 「同時流行はないと思っています」。そう話すのは、北里大の中山哲夫特任教授(ウイルス感染制御学)だ。その理由の一つとして挙げるのが、「ウイルス干渉」だ。

 ウイルスが干渉しあうとはどういうことなのか。中山さんによると、体内の細胞がウイルスに感染すると、その周りの細胞がウイルスに感染しにくくなる。そのため個人も感染しにくくなる――という仮説だ。感染しにくい人が増えると、集団レベルで感染が抑えられる可能性があるという。

 新型コロナとインフルのウイルスの感染経路はほぼ同じで、主に鼻やのどから侵入する。そのため、先に新型コロナに感染していると、インフルに感染しにくくなっているという。「新型コロナとインフルの同時感染が起きないとは言えないが、同時に感染するケースは多くないだろう」と中山さんは指摘する。

 実際、今年の2~3月、北半球では、新型コロナの感染が拡大し始めた頃から、インフルの感染者数が急激に減った。日本と季節が反対の南半球では例年、日本の夏にあたる時期にインフルが流行するが、今年は感染者が激減した。インフルだけでなく、RSウイルス感染症や手足口病の感染者数も大幅に抑えられている。

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 新潟大の斎藤玲子教授(公衆…

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