「私さえ黙れば」みな思っていた 兄の性暴力が見えない

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聞き手・神田大介
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【朝日新聞ポッドキャスト】子どもへの性暴力

 兄から妹など、きょうだい間の性暴力は、家族に認めたくない気持ちが強く、表沙汰になることが少ないといいます。厚生労働省の毎年の児童相談所の虐待対応件数の集計でも親のネグレクト育児放棄)や兄の非行問題として扱われ、実態は把握されていません。家族を悪者にしたくないという思いから、助けを求められない被害者もいます。

 そんな状況を変えたいと、傷つきながらも勇気をもって、体験を語り出した人たちがいます。きょうだい間の性暴力に特有の問題とは。家族は、社会はどう向き合うべきなのか。被害者の取材を続けてきた大久保真紀編集委員が語ります。朝日新聞ポッドキャストでお聞きください。主な内容は以下の通りです。

・母に相談しても「年頃だから仕方ない」

・海外の研究では、4人に1人が被害の可能性も

・年齢にもよるが、家族の雑魚寝は要注意

・被害者を取材で傷つけないために

有料会員の方は

音声の主な内容をテキストでも確認していただけます(音声の内容をそのまま書き起こしたものではありません)

     ◇

Q:今回取り上げるのは兄から性暴力を受けていた看護師の女性(29)です。どんな人ですか?

A:とてもかわいらしい、つつましやかな、清楚(せいそ)な感じの女性です。私が登壇した、あるシンポジウムで出会いました。

 当時は連載の第1部がすでに掲載された後で、「性暴力の連載をしている大久保さんですよね」と彼女から声をかけてくれました。「実は私も当事者なんです」と。

 でも、そこでは周りに人もいたので詳しく聞くわけにもいかず、連絡先だけ交換して、後日、取材のお願いをしました。

Q:どんな被害があったんでしょうか。

A:私に声をかけるわずか1年ほど前に、自分の身に起きたことが性暴力だったと気づいたそうです。

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