母は言った「目背けるな」 米国の分断、アートで変える

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 ノ・ブスケス、ペロ・ノ・テ・デヘス。

 メキシコと国境を接する街、テキサス州エルパソで、芸術家のエンジェル・カブラレスさん(47)は、母からそう言われて育った。「難題を探すな。ただ、見つけたら目を背けるな」。スペイン語で、そんな意味を持つ。

 エルパソは「全米で最も安全」といわれるほど平和な都市だ。人口68万人のうち、8割以上がメキシコなどにルーツを持つヒスパニック系。「小さな町の精神を持った大都市」とカブラレスさんは言う。幼い頃、国境を越えて来た不法移民の子と公園でよく遊んだ。「生まれながらに誰かを憎むひとなんていない」。それが、この街で得た教えだった。

 父方の祖父も70年前、メキシコから米国に不法渡航をくり返した。稼いではメキシコに戻り、また米国へ。最終的には合法的に米国に来たが、一家の暮らしは貧しかった。エンジニアになった父からは「数カ月間、豆しか食べられなかった時もあった」と聞いた。母はいつも政治に熱心だった。「嫌なことは起きる。それで行動を取らなければ、何も言う権利はない」。そんな思いが強かった。

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 エルパソはここ数年、難題だ…

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