聴くとゾクゾク…ASMRの不思議 絶頂に飢えた私たち

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小林太一
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 耳かきの音や咀嚼(そしゃく)音、キーボードのタイピング音――。聴くと思わず体がゾクゾクするような音を紹介する「ASMR(エー・エス・エム・アール)」動画が若者を中心に人気だ。なぜハマるのか。悩みや疑問を募る「#ニュース4U」取材班が探った。

ASMR(エー・エス・エム・アール)

「Autonomous Sensory Meridian Response」の略で、直訳すると「自律的な感覚の絶頂反応」。聴覚への刺激で引き起こされる皮膚感覚のことを指す。一般的には、聴く人の追体験を誘うような音声がASMRと呼ばれている。

 「ザク、ザク」「ガリッ、ガリッ」

 皿に載ったケンタッキーフライドチキン。画面の女性がそれを手に取って口に入れ、チキンをかみ砕く音が流れ続ける。

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読者のみなさんから寄せられた身近な疑問を深掘り取材していきます。

 ユーチューバーの華凛(かりん)さんが4月末に公開した約20分間のASMR動画(https://www.youtube.com/watch?v=lQ0TrxZ1sEg別ウインドウで開きます)の再生回数は5万回を超えた。

 イヤホンからは咀嚼音が立体的に響き、動画を見ていると思わず口の中につばがたまる。「ASMRの魅力のひとつは自分が経験できないことを一緒に体験できること。病気で味覚を失ったり、食欲がなく困ったりしている人たちに、一緒に食べている感覚を届けられたらうれしい」

 そう話す華凛さんは、授業中に本のページをめくる音や、コップに入れた氷が鳴る音が好きだった。そうした音をネットで探して聴いていたが、ユーチューバーになって、自ら撮影・配信するようになった。

 撮影には音を立体的にとらえるバイノーラルマイクを使用。白い紙に鉛筆やボールペンで文字を書く動画などを配信してきた。いずれも再生回数は数万回を超えたが、特に話題になったのは、耳をかいてもらっている時のような音が流れる動画だ。別のユーチューバーとコラボしたところ、再生回数が1年間で170万回を超えた。

 華凛さんのユーチューブのチャンネル登録者数は現在、13万8千人。視聴者は10~20代が中心だ。インスタグラムツイッターを通じ、少しずつ登録者数を増やしていった。

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、再生回数は増加傾向にあるという。

 「コロナで友達と会えなくなった学生がいれば、感染するリスクの中で仕事に行かなければならない社会人もいる。ストレスの解消や心の癒やしに少しでも役に立てたら」

なぜ人々を引きつけるのか

芸能人がASMR動画を配信したり、ASMRの効果を商品開発につなげたりする動きも。不思議な魅力のワケに記事後半で迫ります。#ニュース4UのLINE公式アカウントに登録している「友だち」からの意見も紹介します。

 ASMR動画が浸透し始めたのはコロナ禍の前だ。

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