「春から手術延期のがん患者も」 欧州、医療崩壊の危機

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パリ=疋田多揚 ローマ=河原田慎一 ベルリン=野島淳
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 新型コロナウイルスの「第2波」が猛威を振るう欧州で、医療現場が危機的状況に陥っている。病床の数の限界が近づき、医療スタッフの不足も懸念される。感染が局地的だった今春の第1波と違い、感染が全土に広がっている。春には患者の受け入れなどで協力してきた独仏伊の連携も難しくなる。

 感染者数が欧州最多の約200万人に上るフランスも、厳しい状況が続く。

 「医療態勢が著しく逼迫(ひっぱく)する」。フランスのカステックス首相は12日の記者会見で、全国の入院者数が過去最多の3万2千人を超えたと明かした。新規感染者数は11月中旬ごろから減少傾向にあるものの、入院者数はなお伸び続け、連日500人前後が亡くなっている。

 パリ郊外セーヌサンドニ県の公立病院に勤める救急医クリストフ・プリュドムさん(60)によると、病院に40ある集中治療病床のうち、空きは3床のみ。10月以降、他地域へ患者を搬送したり、コロナ以外の手術を延期したりして、重篤患者の入院を断る事態だけは避けてきた。だが、「春から手術を延期され続けているがん患者が複数いる。半年も遅れれば生存率が下がりかねない」と危機感を募らせる。

 フランス全体で7700ある集中治療病床のうち、16日現在で4919床が埋まっている。感染が拡大した地域が一部に限られていた春と違い、今回の感染は全土に広がっているため、病床が埋まった病院からTGV(高速鉄道)などを使って他地域へ患者を移すことが難しくなっている。

 仏北東部など一部の地域では病院が満床に近づいたため、協力を得られたドイツの病院への患者搬送も始まっている。(パリ=疋田多揚)

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