世界遺産へ、ねらいはどこに? 彦根城VS飛鳥・藤原

有料記事

編集委員・中村俊介
[PR]

 世界遺産をめざすのは、なぜか。ともに早期の登録実現をねらい推薦書原案を出した「彦根城」(滋賀県)と「飛鳥・藤原の宮都(きゅうと)とその関連資産群」(奈良県)。リストの飽和状態や制度疲労が指摘されるなか、ユネスコ国連教育科学文化機関)の看板や経済的価値を超えた意味を、それぞれの関係者は見つめ直し始めている。

 「歴史のまちづくりに彦根城を組み込んで世界遺産の登録推進活動をリンクさせ、まちづくりのてこにする。そのスタートラインに立てたと思う」。彦根市彦根城世界遺産登録推進室の小林隆さんは力を込めた。

 1972年のユネスコ総会での世界遺産条約採択から半世紀近く。その数は千件を超え、もはやこの看板だけで観光振興や地域浮揚を期待できる時代ではない。発想を変えて彦根城をはじめとした地元の歴史遺産をより有効に活用し、長期的な視野に立った個性ある住環境の創出に組み入れようというのだ。

 彦根市の郷土史を意識したまちづくりの取り組みは長い。歴史的環境を後世に残すための「歴史まちづくり法」(2008年施行)の認定地区第1号のひとつでもある。その延長として「地元の住民が気持ちよく住めるため、世界遺産にふさわしい町を。その核に位置づけようとかじを切ったのです」(小林さん)。

 同じ国宝天守を持つ松本城(…

この記事は有料記事です。残り880文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら