第1回「地獄」に直面した球界 ある一言が無観客開幕に導いた

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プロ野球取材班
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 世界を一変させ、スポーツ界にも大きな影響を与えた新型コロナウイルス。プロ野球は開幕が約3カ月遅れ、試合数削減を余儀なくされながらも、レギュラーシーズンを完走した。苦闘の連続だった今季の舞台裏を振り返る。

 「今季はもう、プロ野球の開催は難しいのではないか……」。新型コロナ感染者数が増加の一途をたどった4月。ある球界関係者は、そう嘆いた。

 3月26日に藤浪ら阪神の3選手が陽性判定されて以降、球界に危機感が広がっていた。プロ野球はチームで行動するため集団感染のリスクは避けられない。練習制限だけでなく、活動休止に踏み込む球団も出てきた。日本野球機構(NPB)がJリーグとともに立ち上げた対策連絡会議でも、専門家から楽観的な展望が聞かれなくなった。

 4月3日の12球団代表者会議で、開幕日の再延期が決定。斉藤惇コミッショナーは記者会見で「現時点で開幕日を設定するのは困難」と苦渋の表情を浮かべた。17日の会議では交流戦の中止を決め、試合数も削減することになった。

 開幕日を決められないまま迎えた4月23日の代表者会議。複数の出席者によると、さらに重苦しい雰囲気だったという。7日に発出された政府の緊急事態宣言は、当初の5月6日までで解除されるのか。専門家でも見通せず、「開幕できるとしても無観客」という提言が出されていた。

 無観客は、球団経営の収益の柱を失うことを意味する。「無観客ならやらない方がいい」。そう考える球団もあった。観客数を数千人規模に減らした場合も探ったが、人件費や経費の方が大きくなる可能性があった。

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 この頃、ある球団幹部が取材…

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