第3回「売れない詩人、松本君のことだろう」それが2人の最後

有料記事ザ・ヒットメーカー

構成・定塚遼
[PR]

 ことばが先か、音楽が先か。作詞家と作曲家の仕事の進め方は一様ではない。あまり知られていないが、筒美京平と松本隆は途中で作り方を逆転させていた。やがて詞が先の楽曲と、曲が先の楽曲が共存し、2人はあうんの呼吸でヒット曲を量産していく。記者は聞いた。「会心の一曲はどの曲ですか?」

 「木綿のハンカチーフ」「スニーカーぶる~す」「Romanticが止まらない」「セクシャルバイオレットNo.1」……。日本のポップス史上、最大級のヒットメーカーとして知られた「作詞・松本隆、作曲・筒美京平」のゴールデンコンビだが、最初の共作は振るわず、お蔵入りに終わったという。「僕たちは水と油、北極と南極ぐらい違っていた」と松本隆さんは語る。名曲の数々はどのようにして作られたのか。10月に他界した筒美さんとの曲作りの秘密や知られざる関係性について、松本さんがロングインタビューで振り返った。

 ――松本さんも筒美さんも、芸能界みたいなものと対極にいるイメージなのに、そこで戦い続けたのはなぜだったんですか

 ハッと気がついたら、芸能界の真ん中に来てしまった。これはよく言うことなんですが、僕はミズスマシ。身体を濡(ぬ)らさないようにスースーと芸能界の海を渡ってきたという(笑)。

芸能界の暗部との接点は

 ――中心にいるときは、当時のザ・芸能界的なものをある程度許容してやられてたんですか

ここから続き

 許容なんかしません。ゴルフ…

この記事は有料記事です。残り3066文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

連載ザ・ヒットメーカー(全3回)

この連載の一覧を見る