伝説のサーファー、宮城に新天地「SUPで東北元気に」

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石橋英昭
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 街ににぎわいが戻りつつある宮城県名取市閖上に、今秋、新たな水上スポーツの拠点が加わった。ボードに乗り、パドルで水面をこいで進む「SUP(サップ=スタンドアップ・パドルボード)」だ。経営する白土(しらど)栄一さん(71)は、かつて福島の「伝説のサーファー」。東日本大震災原発事故から9年半、やっと見つけた新天地だ。

 白土さんは福島県富岡町出身。浜通りの海で、半世紀前から波に乗ってきた。いくつも競技大会を立ち上げ、サーフボード製造を手がけたこともある。

 SUPに出会ったのは2009年。ハワイで知人に教えられ、面白さにはまった。これならサーフィンよりも幅広く、老若男女が親しめると考えた。

 事業家の顔も持つ。富岡町夜の森地区で、ショッピングセンターやカラオケハウスなどを経営。北に7キロ離れた福島第一原発で働く人たちが、お金を使ってくれた。

 だが11年3月、ふるさとのまちも海も、奪われた。富岡町は全域に避難指示が出され、事業はすべて休業に追い込まれた。

 白土さんは、妻博子さん(55)の出身地・仙台で避難生活を始めた。心が塞いで、しばらくは海を見る気にもならない。半年ほどして日本海なら大丈夫だろうと、秋田の海に出かけた。夕日を浴びながら水につかり、不思議な気持ちに包まれた。

 「俺には海が必要だ。もう一度かかわろう」

 そこからは持ち前の行動力…

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