図書館の本、データ送信 「民業圧迫だ」出版社は反発

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丸山ひかり 滝沢文那 赤田康和
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 図書館による書籍データのネット送信はどこまで認められるべきなのか――。文化庁が進める著作権法の改正をめぐり、出版メディアからは「反発」が出ている。ただ、コロナ禍で社会のデジタル化が加速するなか、図書館の電子化の流れは止まりそうにない。(丸山ひかり、滝沢文那、赤田康和)

 コロナ禍の下、図書館の休館は全国で相次いだ。国内最大級の蔵書数を誇る国立国会図書館(東京)も、3月上旬から3カ月にわたって来館サービスを取りやめ、その後も抽選予約制など入館制限を続けている。

 大きな影響を受けたのは研究者たちだった。「卒業論文や修士論文に必要な文献の収集ができない」。痛切な声が上がった。

 日本学術振興会特別研究員の前田麦穂さん(29)らが4月、全国の大学院生や教員ら約2500人にアンケートしたところ、研究環境に「影響がある」と答えた人は95%近くに達した。電子データにした資料の公開範囲を広げるよう求める人も76%に上った。

 前田さんらはアンケート結果をネットで公表し、文化庁にも要望書を提出。国会図書館による絶版本の送信先の拡大などを通じた研究者への支援を訴えた。

電子図書館構想

 書籍のデジタル化は、以前からの懸案だった。

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 国会図書館はコロナ禍以前か…

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