車降り20秒、静寂の先に…クマ写真家に学ぶ素顔と生態
全国の市街地などでクマの出没が相次いでいる。人の生活圏に入り、死傷者も出る中で、各地で警戒が強まる。そもそもクマとはどのような動物なのか。約10年前からクマたちの素顔を追い、撮影を続けている秋田市在住のカメラマン加藤明見さん(72)の撮影に、記者(26)が同行した。
かとう・あけみ 1948年、秋田県の旧千屋村(現・美郷町)生まれ。農林水産省農政事務所を定年退職後、現在は秋田市郊外などで野生鳥獣の写真を撮影。2018年には写真集「秋田市にはクマがいる。」(無明舎出版)を出した。恐ろしさばかりでない、クマの素顔が見られる。
「パキッ」と音、記者は目をこらした
秋田県内には4400頭のクマが生息するとされる。加藤さんはこれまでにのべ約810頭のクマを撮影してきたが、主なフィールドは山奥ではなく秋田市近郊だという。
私は記者として秋田市に住んで2年半になるが、一度も野生のクマを見たことがない。撮影に同行させてもらった10月上旬の朝、加藤さんが運転する車で、市中心部から約30分の仁別地区にあるダムに向かった。今年はここによくクマが現れるのだという。紅葉の名所でもあるが、この日は人影はなかった。
近くで車を止め、ほんの20秒ほど歩く。静けさの中に、パキッと小さな音が響いた。
加藤さんが足を止め、私も音…
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