経済インサイド
いまから20年前、携帯電話としては世界初のカメラ付き端末「J―SH04」が誕生した。売り出したのは、シェア万年3位のJ―フォン(現ソフトバンク)。開発したのは後発メーカーのシャープだった。「携帯にカメラをつけても売れない」という業界の思い込みを、巻き返しを図る両社の執念が覆した。
J―フォンで新機種の開発を担当していた高尾慶二さん(61)は1999年5月下旬、休みを利用して両親を連れ、箱根駒ケ岳ロープウェーに乗っていた。目の前には富士山の絶景が広がっていたが、ゴンドラに乗り合わせた年配の女性が気になって仕方がなかった。携帯電話の画面を見つめ、必死にボタンを押していたからだ。
当時はようやく携帯電話でメールのやりとりができるようになったばかりで、年配の人がメールを打つ姿は珍しかった。サービスの広がりを改めて実感したが、同時に「なぜ急いでメールを」という違和感が強烈に残った。
1年後、その答えを見つけた。
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J―フォンは、NTTドコモ…
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