【詳報】「全ての決定権は私」ではない 戒められた首相

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 菅義偉首相ら全閣僚が4日、衆院予算委員会の2日目の論戦に臨みました。野党の立憲民主党共産党日本維新の会国民民主党の党首らが質問します。日本学術会議の会員候補6人の任命除外や新型コロナウイルス対策などをめぐり、首相は野党の追及にどうこたえるのか。タイムラインで速報し、記者が解説します。

寸評=今野忍記者

鬼舞辻にならぬよう、もっと丁寧に説明を

 菅義偉首相は「竈門炭治郎(かまどたんじろう)」か、「鬼舞辻無惨(きぶつじむざん」か――。

 衆院予算委の2日目。空前のヒットを記録し、社会現象となっている人気アニメ「鬼滅の刃」がこの日も国会論戦で取り上げられました。

 2日の衆院予算委で菅氏は「私も『全集中の呼吸』で答弁させていただく」と、主人公の竈門炭治郎が必殺技を繰り出すときのセリフを引用していました。

 それに対し、これまで時の首相と数々の論戦を交わしてきた立憲民主党の辻元清美氏がこの日、「鬼滅返し」で質問しました。

 ただ、引用したのは主人公ではなく、その宿敵・鬼舞辻無惨のセリフ。日本学術会議の任命拒否問題で、菅氏が「私が決定した」と認めつつも「人事に関することだから言えない」などと説明を拒否している姿勢を批判しました。

 そして「鬼滅の刃の漫画の黒幕の言葉」として、鬼舞辻が「全ての決定権は私にあり、私の言うことは絶対である。お前に拒否する権利はない。私が正しいと言ったことが正しいのだ」というせりふを引用し、「こうならないようにくれぐれもご注意いただきたい」と忠告して、質問を締めました。

 「たたきあげの苦労人」「パンケーキおじさん」といったイメージで好感度が上がっている一方で、強権的な一面も菅氏にはあることを浮き彫りにする狙いが辻元氏にはあったようです。

 「私が正しいと言ったことが正しいのだ」。そんな答弁を国会で繰り返していると思われないように、菅氏にはもっと丁寧な説明を求めていきたいです。

17:30

立憲、ひとり親世帯への5万円追加給付を要望

 立憲民主党の長妻昭衆院議員や山井和則衆院議員らが厚生労働省を訪れ、新型コロナで大きな打撃を受けている低所得のひとり親世帯を支援するため、年内に5万円を追加給付するよう求める要望書を田村憲久厚生労働相に提出した。

 コロナ危機では非正規の女性の働き手が大きな打撃を受け、なかでもシングルマザー世帯への影響は深刻だ。今年度第2次補正予算では、低所得のひとり親世帯への5万円の臨時特別給付が盛り込まれ、支給が進んでいる。

 予算委でも、枝野幸男代表が質疑の冒頭でひとり親家庭への支援の必要性を強調したばかり。山井氏は「(働き手のひとり親が)休業や雇い止めにあい、1日2食や1食とか、お子さんが部活をやめたとか深刻な事態。このままでは年が越せない。ぜひとも年内に2回目の支給をお願いしたい」と述べた。

17:20

鬼滅で質疑締めた辻元氏「答弁から逃げるのやめて」

 人気アニメ「鬼滅の刃」のせりふを引用して自身の質疑を締めた立憲の辻元清美氏。委員会後も記者団に、菅義偉首相との対決について「『全集中の呼吸』で答弁から逃げるのはやめていただきたい」と述べた。辻元氏は首相と委員会後に言葉を交わし、「菅総理のためにも6人の方を再任命して、スタートされた方が良い」と伝えたという。

17:10

「任命拒否の道理のなさ、明らかに」共産・志位氏

 予算委での質疑を終えた共産党の志位和夫委員長は記者団に対し、「様々な角度から任命拒否の道理のなさが、明らかになった」と振り返った。

 志位氏はこの日、日本学術会議の会員候補6人を任命しなかった問題に焦点をあてて質問した。

 首相がこれまでの答弁で繰り返し、憲法15条の公務員の選定罷免(ひめん)権を根拠に、推薦候補を必ず任命しないといけないわけではないと自らの判断を正当化してきた点について、「内閣法制局の了解を得て一貫した立場だと言ってきたが、法制局の了解は2年前だという答弁だった。一貫した答弁でもなんでもない」と指摘。「2年前に国民にも隠れて、国会にも隠れてやった解釈変更だということがはっきりした」と断じた。

 その上で「立論の根幹部分が総崩れになった。国民世論を広げ、任命拒否の撤回に追い込むまでがんばり抜きたい」と述べた。

17:10

下村氏「同じ質問なら、同じ答弁で当然」

 自民の下村博文政調会長は、立憲の枝野幸男代表が菅義偉首相の答弁を「壊れたレコード」と批判したのに対し、反論した。党本部で記者団の質問に答えた。

 下村氏は「同じ質問であれば、同じ答弁をするのは当然の話」と語った。「『壊れたレコード』とか言われても、当然の話だ。丁寧に、聞かれれば繰り返しお答えする。ぶれないで答弁されていると思う」とも述べ、首相の答弁を評価した。

17:00

衆院予算委の質疑終わる 5日から参院

 2日目の衆院予算委が終わった。5日からは、参院予算委が始まる。

16:50

国民民主・玉木氏の改憲論議、首相「敬意表したい」

 野党最後の質問者は、衆院で立憲民主党などとの統一会派から離脱した国民民主党の玉木雄一郎代表。「我々は憲法改正議論を積極的にやりたい」と述べた上で、安倍前政権の継承を掲げる菅義偉首相に対し「憲法改正議論で継承するものは何か」と質問した。

 首相はまず「国民民主党が憲法改正について議論を呼びかけている。敬意を表したい」と応じた。その上で「憲法審査会で与野党の枠を超えて建設的な議論を始めていくことが大事だ」などと答弁した。

 玉木氏から自民党の改憲4項目も継承するのか問われ、首相は「自民党として提案するたたき台なので、そこはそのまま継承していきたい」とも答弁した。

 玉木氏は首相に「与野党が円満な形で議論できる環境を整えるように、努力してほしい」と求めた。

16:40

玉木氏と麻生氏、家計への追加給付で異なる見解

 この日最後に質問に立った国民民主党の玉木雄一郎代表は、新型コロナウイルス対策として家計への給付金の追加支給を求めた。

 玉木氏は、今年度第1次補正予算で一律に10万円を配った特別定額給付金について「私はこれで一息ついたという声をいっぱい聞いている」と紹介。麻生太郎財務相が10月末に「その分だけ(個人の)貯金が増えた」と発言したことを取り上げ、その真意を問うた。貯金に回すほどお金に余裕があるなら追加給付はいらない、と麻生氏に思われては困るという考えからだ。

 麻生氏は「コロナの影響が大きかった世帯に下支えの面があったのは確か」と認める一方で、家計の可処分所得などのデータを用い、貯蓄が増えたことを説明した。

 これに対し、玉木氏は、貯蓄に回さずに給付金を使っている人は「むしろ余裕のある人」だと指摘。将来に不安があり、貯金している人がいるとし、「一定の所得以下や子どものいる世帯など、本当に困っている人への重点的な追加給付は意味があるのではないか」と求めた。菅首相はこの要望に正面からは答えず、「経済を回復させるために、状況をみながらちゅうちょなく対策を講じていきたい」と述べるにとどめた。

15:30

首相、都構想反対多数の大阪にエール

 日本維新の会の浦野靖人氏は、大阪市を廃止して特別区に再編する大阪都構想住民投票で反対多数になったことを取り上げた。浦野氏は「2度にわたる僅差(きんさ)での否決。もうチャレンジはしないだろう。松井一郎代表も大阪市長の任期満了での政界引退を表明した。わたしどもは都構想によって党の精神的支柱である人物を2回失うことになる」と述べ、菅首相に受け止めを尋ねた。

 菅氏は維新や松井氏と親しい関係だ。「2度にわたって僅差だった。大阪での取り組みは大都市制度の議論に一石を投じた。地方を元気にするために議論を後押ししたい」と、政府としてコメントは控えると言いつつもエールをにじませた。

15:25

志位氏「異論排斥する政治に未来ない」

 共産党の志位和夫委員長も菅義偉首相に対し、日本学術会議の会員候補6人の任命除外問題を追及した。各団体から「学問の自由」や「表現の自由」などの侵害だとして抗議の声明が出ていることを指摘した。

 首相は学問の自由や表現の自由について「そうしたことにまったく関係がないということを丁寧に説明させていただきたい」と答弁。「学術会議を閉鎖的、既得権益、前例主義、そういうことから脱却させる中で、より良いものにしていきたい」と主張した。

 志位氏は「強権をもって異論を排斥する政治に決して未来がないことは、歴史が証明している」と批判した。

14:40

竈門炭治郎ではなく、鬼舞辻無惨?

 2日の衆院予算委で野党議員からの質問に対し、菅氏は「私も『全集中の呼吸』で答弁させていただく」と、人気アニメ「鬼滅の刃」で主人公・竈門炭治郎(かまどたんじろう)が必殺技を繰り出す際のせりふを引用していた。

ここから続き

 それに対し、辻元氏も「鬼滅…

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