ダム問題再燃の村 「はしごを外された」思い抱く住民も

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村上伸一 竹野内崇宏
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 熊本県南部の球磨川が氾濫(はんらん)した7月の記録的豪雨をめぐり、蒲島郁夫知事が治水対策などについて流域住民らから意見を聴く会合が2日、五木村であった。県などはダムも排除しない治水策の議論を始めており、球磨川支流の川辺川ダム計画でかつての中心部が水没する村では懸念の声が相次いだ。

 国と県、球磨川流域12市町村は先月、治水対策を議論する新たな協議会を設置し、ダムも含めた議論を進めている。

 川辺川ダム計画に当初反対した五木村は、下流域の市町村の安全を守るためなどの理由から、「苦渋の決断」として1982年に賛成に転じた。96年に本体工事に同意。水没予定地から約500世帯が移転し、うち7割以上は村外へ出るなど過疎化が進んだ。

 2009年に民主党政権が計画中止を表明。水没予定地には昨年、村の観光宿泊施設が整備されたが、ダム建設が再開されれば放棄せざるを得なくなる。村長経験者や村議によると、ダム問題の再燃で「はしごをはずされた」との思いを抱く村民もいるという。

 村が住民に委嘱している村政全般に関する諮問機関「再生総合行政審議会」の犬童雅之会長は、2008年にダム計画の「白紙撤回」を表明した蒲島知事が、豪雨災害後にダムを「選択肢の一つ」と発言したことに触れ、「12年前の白紙撤回の時と同様に、突然のことで戸惑いを強く感じている」と指摘。田山種彦会長代理は「白紙撤回から12年たって、やっと穏やかな生活ができるようになった。(ダム問題の再燃で)また振り回されていくのではないかと心配している」と訴えた。

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