愛あればこそ

 プロ野球のレギュラーシーズンがまもなく終わる。広島は王座奪回どころか早々と低迷した。どうすればいいのか。愛するがゆえの提言を、広島出身で熱心なファンでもある、映画監督の西川美和さんに聞いた。

発掘、育成にロマンあり

 選手には2016~18年のリーグ3連覇の勤続疲労がたまっているように見えます。主力の一部が入れ替わる時期にもあたるのでしょう。自然の摂理であり、時の移ろいです。その結果として、2年連続で苦しんでいるのだと思います。

 それでも、お金で引き抜くような補強はしない。やっぱり生え抜きを育てる。「自分たちはこれでやっていく」という自負がちゃんとある。今年も2年目の20歳の羽月隆太郎選手、24歳の大盛穂(みのる)選手ら若手が出てきて楽しませてもらいました。

 映画監督として、へき地医療を題材にした「ディア・ドクター」など人が気にかけないようなネタをゼロから育てるやり方をしています。「本当に映画になるのかね」って思いながら。カープも、あまり注目されていない選手を発掘し、育てていく。自分と重ねるのはおこがましいですが、ロマンを感じます。

いいことばかりじゃないと分かっている

 私はカープの最初の黄金期とともに幼少期を過ごしましたが、もともとはファンではありませんでした。広島の街やテレビには当時から「カープ」があふれていた。全体の流れに沿うことが嫌だと思ってしまう気質なので、みんながカープを好きじゃないといけないというような同調圧力への反発があったのだと思います。

 上京して変わりました。

 東京に出てみると広島カープと…

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