FC刈谷「今年こそJFL復帰」 6日から全国地域CL

松本行弘

スポーツのミカタ

 愛知県刈谷市のサッカークラブ、FC刈谷が11月6日に開幕する全国地域チャンピオンズリーグ(CL)で日本フットボールリーグ(JFL)昇格に挑む。2010年から東海社会人リーグへ降格。JFL復帰に向けて、ここ5年はね返されてきた大会で、「今年こそ」と臨む。

 全国地域CLは12チームが3組に分かれて総当たりの1次ラウンド(R)を戦い、各組1位と、2位の成績最上位が、19日からの決勝Rへ進む。4チーム総当たりで2位以上がJFLへ昇格できる。

 1次RでFC刈谷は、SAGAサンライズパーク陸上競技場(佐賀)で行われるB組で、ブリオベッカ浦安(関東、試合は6日)、SRC広島(中国、7日)、沖縄SV(九州、8日)と対戦する。

 新型コロナウイルス感染症のため、今季は公式戦が少なかった。例年は東海社会人リーグで14試合があるが、トーナメントとなり、不参加チームもあって2試合勝って優勝。全国社会人選手権は中止となり、天皇杯愛知県予選は初戦敗退した。

 佐藤悠希主将は「難しいシーズン。練習試合はしたが公式戦とは違う。練習から常に試合をイメージするよう監督が意識させてくれて、自分も若い選手に伝えてきた。できる範囲でのいい準備はできている」と実戦不足を補ってきた。

 昨年まで5年連続で出場した全国地域CL(15年の名称は「全国地域リーグ決勝大会」)で、最も昇格に近づいたのは18年の3位。その年の東海社会人リーグ得点王だった中野裕太選手は「初戦が大事。実力差があっても1点で流れが変わり、勝ち切れたら勢いで行ける大会」と短期決戦のポイントを語る。

 サッカー界で「刈谷」の名が知れ渡ったのは、1954年度と57年度の全国高校選手権で準優勝、54年国体で優勝した刈谷高だ。白地のユニホームの前面に肩から腰へ赤く太いラインが一本入り「赤ダスキ」と言われた。FC刈谷は2006年、JFL参戦をやめたデンソーの権利を受け継いで発足し、ユニホームやチームロゴに赤ダスキのデザインを採用している。

 就任1年目の門田幸二監督も周囲からの期待を「ひしひしと感じている」という。「昇格の喜びをみんなで分かち合いたい。昇格は使命だと思って来た。きれいなサッカーもしたいが、勝たない

といけない。勝負強さに焦点をあてて練習してきたことがはまれば、いい試合になる」と臨む。(松本行弘)

 FC刈谷・佐藤悠希主将(32)の話 これまでのシーズンだったら週末の公式戦という緊張感があったが、今季はそれがなく難しい。若手や、大学を卒業してプロを経ずにこのクラブに来た選手も多い。自分は年齢も上で、J3などの経験もあり、監督が伝えたいことがうまく伝わっていないかなと思った時は、間に入って行動が変わるようにしてきた。意識も変わって、チームの雰囲気はよくなっている。自分たちがしっかりやれば昇格できる。FC刈谷は地域リーグで勝つためのチームではなく、もっと上を目指している。JFLに昇格すればOKなんて思っていない。

 FC刈谷・中野裕太選手(31)の話 JFL昇格という目標でスタートしたが、公式戦が少なく、モチベーションを保つのが難しいシーズンになった。その中で、ようやく本番が近づいて、モチベーションが上がってきた。この1年やってきたことを出したい。FC刈谷に来て6年目。(全国地域CLも)6回目で、本当に「今年こそは」という気持ち。1試合目の浦安にはFC刈谷の1年目に(全国地域CLで)負け、3試合目の沖縄は去年負けた。同じ相手には負けられないという気持ちが強い。初戦が大事。試合の立ち上がりでどう入って行くのかがすごく重要だ。

 FC刈谷・門田幸二監督(44)の話 どこも強いチーム。きっこうすると思う。公式戦で試合を重ねて選手を見極めていくものなので、(公式戦が少なかった今季は)すごく難しかった。それは仕方ない。練習してきたことがはまり、味方同士でイメージが共有できれば、いい試合になる。ここまで来ると、点を取る、取られないという本質的なものが大事になる。(リーグ戦ではなく)トーナメントのような戦い方を重視している。カウンターも、ビルドアップも、相手の状況を見てできるようにトレーニングしてきた。仕上がりは85%くらいは行っていると思う。