同性パートナーへの遺族給付めぐる訴訟、一審に双方異論

村上友里
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 殺害されたパートナーと同性であることを理由に遺族給付金が支給されなかったのは違法だとして、名古屋市の男性(45)が愛知県を相手取り、不支給の取り消しを求めた訴訟の控訴審の第1回口頭弁論が30日、名古屋高裁(古久保正人裁判長)であった。県側は控訴棄却を求めて争う姿勢を示した。

 原告の内山靖英さんは、2014年にパートナーの男性が殺害され、愛知県公安委員会に遺族給付金を申請した。国の犯罪被害給付制度は、支給対象に「事実上婚姻関係と同様の事情にあった者も含む」と法律に明記されているが、2人が同性だったことを理由に不支給となった。

 6月の一審・名古屋地裁判決は、不支給決定の当時、同性カップルの共同生活が婚姻関係と同視できるという「社会通念」が形成されていなかったなどとして、原告側の請求を棄却。原告側が控訴していた。

 原告側は控訴理由書で、「根拠法の受給者の範囲についての条文に『社会通念』という文言はない」と指摘。司法権には少数者の権利や利益を守る役割があるのに、一審判決はその役割を放棄したと主張する。また、同性を理由とした不支給は「法の下の平等」を定める憲法14条に違反するとしている。

 被告の県側も、社会通念を根拠にすることについては「法が予定した範囲を超えて対象者を認めることになる」と反対の見解を示した。その上で「受給者の範囲は民法上の概念と同じように考えられるべきで、同性カップルの共同生活関係が対象に含まれないことは明らか」と反論した。(村上友里)

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