焼失から1年の首里城「日本文化のダイナミズムの象徴」

有料記事沖縄はいま

構成・今井邦彦
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 昨年10月31日に発生し、首里城那覇市)の正殿など主要な復元建物が全焼した火災からまもなく1年。政府の関係閣僚会議は2026年までに正殿を再建する方針を決め、復興に向けて動き出した。1992年に完成した正殿の復元で歴史考証の中心になり、今回の再建でも政府が設けた「首里城復元に向けた技術検討委員会」の委員長を務める高良倉吉・琉球大名誉教授(琉球史)に、この1年を振り返ってもらった。

 焼失した首里城の再建に向け、火災直後の昨年11月から有志の勉強会を始めました。年末には技術検討委員会が動きだし、ワーキンググループの会議も何度も開いて、問題点を洗い出しました。

 再建される正殿は、基本的に平成の復元を踏襲することになりますが、大きく変わるのは防火・防災設備です。スプリンクラーをつけることは早々に決まりましたが、首里城の歴史的空間を再現するためには、室内に扁額(へんがく)や御差床(うさすか)(玉座)などの復元文化財を置くことは欠かせない。誤作動などが起きにくい最新の設備を、歴史性を損ねない形でどう建物に収めるか、消防、防災の専門家も交えて議論をしているところです。

【首里城】 琉球王国(1429~1879)の王宮として政治、外交、文化の中心となった城。何度も焼失、再建を繰り返し、18世紀に再建された城は1945年の沖縄戦で破壊された。92年、国営公園として正殿などの復元が完成。2000年には沖縄県内のほかのグスク(城)跡とともにユネスコの世界文化遺産に登録された。だが19年10月31日未明、正殿で火災が発生し、主要な復元建物が焼失した。

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 もう一つの課題は、琉球の伝…

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