映画配給会社アップリンク代表、パワハラ訴訟で和解成立

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 東京や京都で映画館も営む映画配給会社「アップリンク」(東京都)の元従業員ら5人が浅井隆代表からパワーハラスメントを受けたなどとして損害賠償を求めていた訴訟で、原告代理人弁護士と浅井代表が30日、和解が成立したことを明らかにした。

 原告側の弁護士によると、合意内容には謝罪と賠償金に加えて、浅井代表が保有するアップリンクの株式の一部を社外の者に譲渡することによる複数株主制への移行、社外を含む取締役会の設置、コンプライアンスに関する調査を行う第三者委員会の設置などが含まれているという。

 原告は和解について「決して、浅井氏及びアップリンク側の謝罪に満足できたわけではありませんでしたが、もし今後も会社が存続し、浅井氏が継続して取締役社長を続けるのであれば、ほんのわずかでもアップリンクに在籍するスタッフの負担が軽減されるための仕組みを作ることの方が、より意味があると判断した」などとするコメントを出した。訴訟を機に立ち上げた被害者の会については「ミニシアターや配給会社、映画製作の現場における様々なハラスメント被害の報告が届いています。私たちはそういった声が決して見過ごされることのないように、今後は労働者の権利を回復するために情報を発信していきたい」と継続する考えを示した。

 浅井代表は「今回の提訴を受け、改めてハラスメントは人の尊厳に関する問題であるということを認識し、自分自身の課題として、向き合ってきました。今回の合意をハラスメントのない会社の仕組みを作るスタートとして捉え、アップリンクに関わるすべての方々が働きやすい職場作りを目指していきます」などとするコメントを発表した。

 原告代理人の馬奈木厳太郎弁護士は今回の合意について「ハラスメントを契機とした社内体制の刷新という意味では、これほど多様な改善策の導入を約束させたのは前例がないと思われる。原告らが声をあげたことの成果でもあり、今後の一つのモデルになれば」とコメント。そのうえで「とはいえ、体制を変えただけで全てが変わるわけではない。意識が変わらなければ意味がない。アップリンクの件は、決してアップリンクだけの問題ではない。今回、原告らが勇気をもって声をあげたことが、被害を受けながら声をあげられない人々を勇気づけるものとなることを願っている」とした。

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