新型コロナウイルスの「第2波」が猛威を振るっている欧州で、各国政府が再度、厳しい行動規制にかじを切り始めた。病床が埋まりつつあるフランスは春の流行時を超える危機を迎え、「禁じ手」だった外出禁止令に踏み切った。クリスマス商戦を救いたいという思惑もにじむ。
「11月半ばにはフランスの集中治療室は限界を迎える」
フランスのマクロン大統領は28日の国民向けテレビ演説で、こう危機感をあらわにした。医師が治療すべき患者を選別することになるとも指摘。「第2波は第1波より大きな犠牲者が出るだろう」と警告し30日から全土で1カ月、外出を禁じると明らかにした。市民の外出は食料品の買い出しなどに限られ、違反者には再び罰金が科される見通しだ。飲食店など「必要不可欠でない」店舗はすべて閉鎖される。一方、教育格差を広げる恐れがあるとして、学校は大学をのぞいて閉鎖しない。
マクロン氏は規制を2週間ごとに見直すことも明らかにした。「感染をより制御できていれば、クリスマス前の大事な時期に、一部の商店は再開できる期待を持てるだろう」と語った。 マクロン氏は8月末、ロックダウンについて「もっともやぼで、単純すぎるやり方だ。(ペストが蔓延(まんえん)した)中世からすでにやってきた」などと否定してきた。代わりに採った戦略は「ウイルスと生きる」という感染対策と経済を両立させる道だった。5月に最初のロックダウンを解除すると、国民に職場で働くよう呼びかけ、夏休みには国内旅行を促進した。9月からの新学期も全学校を再開させた。感染者の隔離期間は2週間から1週間へ短縮した。
市民にほぼふだん通りの生活を促し続けた結果、5月に200人以下に抑え込んだ1日の感染者数は、10月に5万人まで膨らんだ。全国の入院者数も春のピーク時に迫り、もはやほかに打つ手がなくなっていた。(パリ=疋田多揚)
再ロックダウンで増す先行き懸念
春を上回る「第2波」はフランスにとどまらない。過去最多の感染者を連日記録するなか、行動規制の強化が迫られている。
新規感染者が約1万7千人と…
【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら