ダイオキシン類などで汚染された食用油による「カネミ油症」の被害者連絡会が東海地域に発足し、共同代表の男性が29日、愛知県庁で記者会見した。国内最大規模の「食品公害」の発覚から今月で52年。被害者支援が「空白」だった地域で、未認定患者の掘り起こしや幅広い救済を求め、全国の被害者団体と連携して活動する。
カネミ油症は、製造過程でダイオキシン類などが混入したカネミ倉庫(北九州市)の食用油が原因。1968年10月に発覚し、皮膚や内臓の疾患など症状は多岐にわたる。被害は西日本一帯に広がったが、医療費などが支払われる患者認定には血中のダイオキシン類濃度が重視されてきたことなどから、厚生労働省によると、認定患者は累計で2345人(死亡者を含む)にとどまる。
拡大するカネミ油症の被害をまとめたリーフレットが東海連絡会の初会合の席で配布された=名古屋市中村区
被害者十数人が参加した東海連絡会は6月に発足し、今月、活動を本格化。愛知、三重、岐阜、静岡の4県には移り住んできた患者ら70人近くが暮らしているといい、今後、定期的な検診の場などを通じて患者の掘り起こしを進める。また、国と原因企業のカネミ倉庫と被害者団体との協議にも加わり、幅広い救済を訴える。
29日の会見で共同代表の男性(61)は「声をあげなければ時間が経って、ただ死んでしまうばかりだ。声を届けて動かしたい」と話し、同席した支援団体「日台油症情報センター」の藤原寿和センター長は「油症問題が終わっていないことを社会に知らせるインパクトになる」と語った。
■「無言貫いてきたが…」 いま…