「静かに飲食をお願い」 北海道知事、コロナに危機感

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斎藤徹 芳垣文子 松尾一郎 武田啓亮 山本知弘 原田達矢 長崎潤一郎
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 新型コロナウイルスの感染者数の増加が続く中、北海道が「警戒ステージ」の引き上げに踏み切った。目安となる指標がすべて基準を上回ったわけではないが、早期の警戒強化で感染拡大を食い止めることを狙う。ただ、観光や飲食事業者は「Go To」キャンペーンで客足が戻り始めた矢先だった。道は経済活動と感染防止の両立という難しいかじ取りを迫られる。(斎藤徹、芳垣文子、松尾一郎、武田啓亮、山本知弘)

 道は独自に5段階の警戒ステージを定めており、最も低い「1」だったが、これを「2」へ引き上げた。8月に定めてからは初めての引き上げとなる。11月10日までの2週間を集中対策期間とし、体調不良時の外出自粛やマスク着用の徹底、テレワーク在宅勤務)の推進などを求める。

 28日午前に道庁で開かれた対策本部会議後、鈴木直道知事は会見で、飲食時の感染防止について強調した。過去の感染例では職場内での接触に加え「飲酒を伴う会食・会合」が多く確認されている。鈴木知事は「飲食の前後はマスクを」とし、「お店側としてもお客にお願いしにくいところもある。私から皆さんにお願いしたい」と求めた。

 ステージ引き上げの目安となるのは入院患者数や検査陽性率、新規感染者数など7項目で、基準を上回ったのは入院患者数など5項目。すべて上回る前にステージを引き上げたのは、患者が入院する医療機関の負担増を防ぐ意味合いが大きい。足もとの入院患者数は1カ月前から倍増の158人で、道内で今利用できる622床の4分の1を超える。感染拡大を早期に防がなければ、追加の病床確保が不可欠になる。

 札幌市は道の決定を受け、PCR検査体制の拡充や発熱患者への対応を強化。ピーク時で1日当たり3500人の発熱患者に対応できるよう準備を進めているという。

 道は早期の感染拡大防止を図るが、最近はクラスター(感染者集団)も多く確認されている。これまで計65例が確認され、9月19日以降では、札幌市ススキノ地区などの「接待を伴う飲食店等」で18件(182人)あったほか、日高地方の道立高校など「学校」で2件(35人)、「事業所等」で5件(37人)、特別養護老人ホームなど「福祉施設」で5件(41人)と幅が広がってきている。

 年初の国内での感染拡大の初期段階には、道内は他地域より早く感染が広がり、2月末に政府に先駆けて独自の緊急事態宣言に踏み切った。道内の状況を政府も注視しており、西村康稔経済再生相は28日の会見で、「寒くなり換気が悪くなるという北海道特有の寒冷地の課題もある」とし、「専門家の派遣も検討している」と述べた。過疎地の看護師などの確保でも対策を検討するという。

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■「Go To」で回復の矢先…

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