大役担ったハリウッドの日系女性監督 現地の多様性は?

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シネマニア経済リポート

 日系米国人女性が、ハリウッドのスター俳優を主役に据えた作品で、大きな権限を与えられ監督を務める日が来るなんて。少し前までは想像もつかなかった。10月23日から全国で順次公開中のニコール・キッドマン(53)主演の米映画「ストレイ・ドッグ」の監督は、北海道出身の児童精神科医を父に持つカリン・クサマさん(52)。女性やアジア系の登用の現状や意義について、ネット会議システムでインタビューした。

主に海外の映画から、私たちを取り巻く問題を経済の側面から読み解く「シネマニア経済リポート」。ハリウッドの取材経験が豊富な藤えりか記者が様々な映画や業界事情を紹介する記事を、随時配信します。

 「ストレイ・ドッグ」(原題:Destroyer、2018年)は、米ロサンゼルスのうらぶれた街並みや砂漠地帯が舞台だ。ロサンゼルス市警の刑事エリン・ベル(キッドマン)は、酒におぼれ、同僚や元夫、16歳の一人娘からも疎まれる日々。だが、背景には17年前の潜入捜査の悲劇があった――。

 刑事モノの映画は数多く作られてきたが、女性刑事(しかもすさんだキャラ)が主役の映画はきわめて少ない。かつ、主演はキッドマンという著名俳優。それを数少ないアジア系、中でも日系の女性が監督を務めたのは画期的だ。

 キッドマンの配役は、かねて「女性の映画人を増やすためにも女性監督と仕事をし続ける」としてきた彼女が、クサマ監督に自ら出演を申し出て実現したという。かつてなら男性だったであろう役を女性が演じる点も、興味を持った理由の一つだったとか。キッドマンはこの作品で、ゴールデングローブ主演女優賞にノミネートされた。

 共同脚本を書いた一人、フィ…

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