菅義偉首相が就任して初の国会で、28日午後の衆院代表質問から論戦が始まりました。日本学術会議の会員候補6人の任命除外などをめぐり、首相は野党の追及にどうこたえるのか。タイムラインで速報し、記者が解説します。

拡大する写真・図版衆院本会議で、立憲民主党の枝野幸男代表の質問に答弁する菅義偉首相=2020年10月28日午後1時44分、上田幸一撮影

寸評=倉重奈苗記者

除外の理由、後付けでは 矛盾した首相答弁

 菅首相が就任後、初の国会答弁に立った。野党第1党の立憲民主党からは、枝野幸男代表と泉健太政調会長がそろって質問に立ち、今国会の最大の焦点である日本学術会議の任命拒否問題をただした。

 首相は就任後の朝日新聞などのインタビューで、学術会議が推薦した会員候補の除外前の名簿を「見ていない」と説明してきた。だが、この日の答弁では、「民間出身者や若手が少なく、出身や大学にも偏りがでないことも踏まえた多様性を念頭に、私が任命権者として判断を行ったものだ」と説明した。

 首相の言葉を信ずれば、名簿を見ないでどのように多様性を判断したというのだろうか。思想信条が任命の是非に影響することはない、とも首相は説明してきたが、6人は安倍政権時代、安全保障関連法や特定秘密保護法、「共謀罪」法などに批判的な立場をとっていた。この日の答弁は、6人を除外した本当の理由を答えたくないための、後付けで考えた理由ではとの疑念すら湧く。

 任命拒否問題をめぐっては、三つの疑問が解明されていない。①学術会議が推薦した会員候補6人はなぜ除外されたのか②誰が判断に関わったのか③学術会議が推薦名簿を提出した8月31日から、9月28日に6人を除外した任命者名簿を受け取るまでの1カ月間、政府内でどういう検討がなされたのか――。

 30日まで代表質問、そして来月2日からは予算委員会で一問一答の論戦も始まる。首相がこれらの疑問にどう答えるのか。引き続き注視していきたい。

16:10

女性活躍、野田氏「有権者のほうが…」

 自民党の野田聖子幹事長代行が衆院本会議後、菅義偉首相に質問した「女性候補者の発掘」などについて記者団に語った。

 野田氏は「有権者のほうが『政治は男の仕事ではない』という認識を持っていただけている。今度は我ら政党が実行する番を迎えていて、有権者の人たちにどれだけ真摯(しんし)な姿を見せられるかどうかだ」と述べた。

15:45

枝野氏「支離滅裂の答弁なさった」

 立憲民主党の枝野幸男代表が質問後、菅義偉首相の答弁について、記者団に「ほとんど正面からのお答えはなかった」と批判した。

 枝野氏は、首相の日本学術会議をめぐる答弁に対し「全員の名前の載った名簿は見ていないにもかかわらず、出身校とかのバランスをとって自分が判断したと。全体の105名の名簿を見ていないのに、バランスをとって自分が判断したという支離滅裂の答弁を堂々となさった。これだけでも辞職ものだ」と語った。

15:48

ツイッターも論戦を注目

政治部・南彰記者が首相答弁について引用リツイート

「杉田水脈氏発言に関する署名について、菅首相は自らが総裁なのに、『党の判断を尊重します』」

15:45

1日目の論戦終わる

 衆院代表質問の1日目の論戦が終わった。本会議は散会した。

15:40

イージス撤回めぐる経費、首相答えず

 泉氏は代表質問で、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」配備計画の撤回による違約金の額や代替案にかかる経費を首相にただした。

 首相は「契約解除に向けた調整は行っていないため、違約金について答えることは困難」と答弁。これまで支払った金額は「約270億円」とし、内訳の具体的な説明はしなかった。

 代替案については、移動式の洋上配備プラットホームに搭載する方向で検討中だとして、「厳しい財政事情や自衛隊を取り巻く諸情勢を踏まえて検討していく」と述べるにとどめた。

 敵基地攻撃能力を導入するかどうかについても「現時点でお答えすることは困難」とした。

15:35

首相、学術会議の任命「変更考えてない」

 菅義偉首相は立憲・泉健太氏に対し、日本学術会議の会員候補6人の任命除外について「民間出身者や若手が少なく、出身や大学にも偏りがみられることを踏まえ、多様性が大事だということも念頭に、任命権者として判断した」と答弁。「今回の任命について変更するということは考えておりません」と強調した。野党席から大声でヤジが上がる一方、与党席からは拍手が起きた。

 首相は続けて、森友学園の文書改ざん問題について「財務省で捜査当局の協力も得て事実を徹底的に調査し、調査報告をまとめている」「さらに検察の捜査も行われ、結論が出ている」と答弁。加計学園問題については「安倍(晋三)前総理大臣が、国家戦略特区のプロセスにおいては法令にのっとり一貫してオープンなプロセスで進めていると答弁している」。「桜を見る会」問題についても「来年以降、少なくとも私の任期中は開催しない。関連する公文書に関しては、公文書管理法などに基づいてすでに対応している」と答弁。立憲・泉氏からの追及に対し、いずれも「ゼロ回答」だった。

15:35

13万超の署名受け取り拒否、首相答えず

 自民党の杉田水脈衆院議員が性…

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