ANA社長「資金は心配ない」 コスト削減と資金調達へ

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友田雄大 高橋尚之 鈴木友里子
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 新型コロナウイルスの感染拡大で、ANAホールディングス(HD)が過去最大の赤字見通しを発表した。コスト削減と新たな資金調達をセットで実施し、危機の長期化に備える。ただコロナの収束の時期は見通せず、追加策を迫られる可能性もある。

 「単なるコストカットにとどまらず、ビジネスモデルを変革する」。東京都内の本社であった27日の会見で、片野坂真哉社長はこう強調した。

 2021年3月期の最終的なもうけを示す純損益は、5100億円の赤字の見込み。業績は4~6月が底で、毎日平均で約19億円の現金が流出していた。7月以降は多少上向いたものの、7~9月の流出額は約9億円。コスト削減と資金調達を進めなければ、いずれは資金繰りに支障を来しかねない。

 コスト面では、年収換算で平均3割ほどに及ぶ社員の給与削減を労働組合に提案。400人以上に、他社に出向してもらう。2500人分の採用活動は止めて一時的に要員を減らす。片野坂社長は「給料を減額しても雇用を守る」。給与や出向は需要が戻れば元に戻すとする。

 整備費などが定期的にかかる飛行機も、20年度末の機体数を当初計画から33機削減する。

 これらの策を合わせると、コスト削減効果は21年3月期に1500億円、22年3月期に2500億円にのぼるとはじく。成長戦略でも、格安航空会社(LCC)の新ブランドを立ち上げると明らかにした。子会社再編による新事業育成も強化する方針だ。

 資金繰りでは、返済順位が低く一部が自己資本とみなされる劣後ローンで計4千億円を銀行団から調達したと発表。片野坂社長は「キャッシュ(現金)は持ちすぎなくらい。資金は心配ない」と強調した。

 ただ、劣後ローンはいずれ返す必要がある借金だ。6月までに確保した資金も借金で、3月末に8千億円強だった有利子負債は、9月末で約1兆3千億円に積み上がった。これに劣後ローン分が上乗せされる。

 ANAの純利益は過去最高の18年3月期でも1438億円。ある幹部は「やむを得ない借金とはいえ、需要回復後も大きな足かせになる」と気をもむ。

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