ウポポイ、相次ぐ批判にQ&A アイヌの歴史どう伝える

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西川祥一 芳垣文子
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 開業から3カ月を迎えた北海道白老町のアイヌ文化発信拠点「民族共生象徴空間」(ウポポイ)で、中核施設「国立アイヌ民族博物館」の展示方法や歴史認識を巡り意見や苦情が相次いでいる。同館は理解を深めてもらおうと、ホームページに説明文を掲載した。アイヌ民族の文化や歴史を分かりやすく伝えるにはどうすればいいのか。(西川祥一、芳垣文子)

 国立アイヌ民族博物館には7月の開業直後から、電話やメールなどで、批判的な内容の意見や苦情が週1、2回届いている。「アイヌ文化は12~13世紀に成立したとされている。アイヌ民族は日本の先住民族ではないのでは」「歴史展示のスペースが少ない」「歴史認識を分かりやすく書くべきだ」など、声は様々だ。

 誤解を解き、理解を深めてもらおうと、同館の展示企画室を中心に、15項目のQ&A「よくある質問―アイヌの歴史・文化の基礎知識」を作成。今月12日にホームページに掲載した。

 「なぜ先住民族と認められているのか」については、アイヌ施策推進法で初めて先住民族と規定されたことを紹介し、「近代国家明治政府)が形成される過程で支配を受け、それでもなお独自の文化とアイデンティティを保持していることから、『先住民族』と考えることができる」などと答えている。

 同化政策によるアイヌ民族の暮らしへの影響については、「和人の人口がアイヌ民族の人口を大きく上回るようになると、多数者の和人からの民族差別が激しくなり、アイヌ民族として生きることが非常に難しい社会になった。この結果、アイヌであることを隠し、日本人として認められるように、伝統的なアイヌ文化を身につけないという道を選んだアイヌ民族が多くいた」などと説明している。

 展示企画室は今後もQ&Aの追加や、展示物の解説文をより丁寧にすることを検討しているという。

識者「展示きわめて不十分」、アイヌ民族大学生「きっかけとなる施設」

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■榎森進さん(80) 東北学

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