憎んだ母の手に触れるまで 青木さやかさん、最期の和解

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高橋美佐子
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 人間は生まれてきた以上、必ず死んでいく――。そんな自然の摂理を、老いた親をみとる場面で実感する人も多いかもしれません。終末期とは。「生きる」とは、命とは何なのか。人生100年時代の今、大切な人との別れを通じて貴重なメッセージを受け継いだ青木さやかさんに聴きました。

 タレントの青木さやかさん(47)は昨夏から約4カ月、故郷の愛知県にあるホスピスへ毎週のように通いました。目的は、がん末期を迎えた母との和解です。「東京から1人で運転して行くんですが、浜松を過ぎる辺りでいつも憂鬱(ゆううつ)な気分になって……(苦笑)。だけど最後のチャンスと思って頑張りました」

 母が嫌いになったのは、教員だった両親が離婚した高校時代。母は周りから尊敬されていましたが、「娘の私は幼いころから褒められた記憶がなく、指導や注意を受けてばかりでした」。世間体を気にして、ひとり親家庭を良く言わなかった母自身が、シングルマザーの道へ。思春期の青木さんは失望し、反発しました。

 芸能界を目指した理由の一つも「母のような公務員とは正反対の世界で成功したかった」。しかしテレビで広く人気を得ても評価してもらえず、不仲なままでした。結婚し、2010年に産んだ一人娘を抱かれた時には「私の大事なものに触らないで!」と、母への激しい憎悪が湧き出すほど。そして離婚。青木さんは娘を連れて定期的に帰省したものの、母を憎み、時にいらだつ自分を抑えられませんでした。

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 そんな気持ちが変わったのが…

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