田添聖史、野田佑介、平川仁
新型コロナ禍で県民が選んだのは、県政の刷新だった。富山県知事選は25日投開票され、新顔で日本海ガス前社長の新田八朗氏(62)が、現職の石井隆一氏(74)と、新顔でNGO代表の川渕映子氏(71)を破り、初当選した。半世紀ぶりの激しい保守分裂選を反映し、投票率は過去最低だった前回35・34%を大きく上回る60・67%だった。
富山市内の事務所で、新田氏は「まずは政策にまとめたものに取り組んでいく。しっかり行程表を作ってこなしていく」と抱負を語った。保守分裂について、「分裂したままでは素晴らしい富山を作っていけない」。ラグビーのノーサイドの精神を紹介して、石井、川渕両陣営とも協力するとし、「投票しなかった人にも認めていただけるよう全力で働く」と述べた。
自民党県連の推薦争いには敗れたが、連日、朝の街頭演説や企業回りを実施。一部の自民党県議や富山市議、森雅志・同市長らが支援に駆けつけ、県連の推薦決定過程は「透明性を欠く」などと批判。有権者の4割弱を占める県都を中心に攻勢をかけていった。
演説では、行政手続きのデジタル化や市町村とのスムーズな意思疎通などを主張。「お役所」の硬直した組織や前例主義に、「民間」のスピードやコミュニケーションを取り込むと訴え、「刷新」への期待感を膨らませた。
集会では、応援メッセージを効果的に使った。
日本維新の会副代表の吉村洋文大阪府知事は「国からの指示待ちじゃなくて、自ら判断して動くということが非常に重要」として、官僚出身者は国の決定に従順な傾向があると指摘。石川県出身の森喜朗元首相も「富山も石川も福井も、お役所から来た知事を長持ちさせすぎるところがある」と論評する動画を寄せ、「官僚出身か民間か」「多選かフレッシュか」の構図を意識させた。
一方、石井氏は「全ての責任は…