東京パラ狙うベトナムの片腕スイマー 結婚に込めた思い

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ホーチミン=宋光祐
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 ベトナム最大の都市ホーチミンで10月10日、グエン・ホン・ロイさん(33)とファン・ティ・トゥオン・ギアさん(27)が結婚式を挙げた。ベトナム戦争中に米軍がまいた枯れ葉剤が原因とされる障害で、ロイさんは生まれつき左腕しか自由に使えない。新型コロナウイルスの影響で日々の生計にも困難を抱えるなか、笑顔で門出にのぞんだ2人をたくさんの人々が祝福した。

 純白のウェディングドレスに身を包んで歌いながらステージまで進んできたギアさんを、ロイさんが少し緊張した表情で迎える。ギアさんがロイさんの右隣に立って障害のある手をいとしそうに握りしめると、式に参加した約250人の家族や友人たちが立ち上がって拍手を送った。

 2人の出会いは2年前にさかのぼる。ロイさんは東京パラリンピックを目指す水泳選手で、画家の友人からベトナムの伝統衣装アオザイの展覧会に男性用のアオザイのモデルとして招かれた。そこにデザイナーの一人として参加していたのがギアさんだった。その場ではほとんど言葉を交わさなかったが、後日、ギアさんがフェイスブックでロイさんのアカウントを見つけてメッセージを送信。すぐにロイさんから返事が来て、2人で会うようになった。

 「エネルギーにあふれていて自立している。そこがかっこいい」とギアさん。ロイさんは「仕事ができて強い女性。話すうちに自然と好きになった」と妻の印象を語る。

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 2人は昨年4月、ホーチミン…

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