工芸館、中田英寿名誉館長の期待 質問に巧みな切り返し

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編集委員・大西若人
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 金沢市で25日に移転・開館する東京国立近代美術館工芸館(国立工芸館)の名誉館長に就任したのは、元サッカー日本代表中田英寿さんだ。中田さんはプロサッカー選手を引退後、全国を旅したことを機に、日本の文化発信を手がけ、工芸家たちとも交流してきた。「新しい発想」や「発信力」を期待される中田名誉館長が24日の開会式典や囲み取材で語った言葉からは、工芸への「危機感」と「期待」がうかがえた。

 式典で「10年ほど全国を回って、工芸が非常に好きになった」と切り出した中田さんは、一方で「一番大きな問題は、工芸の作り手や産地と消費者が非常に離れてしまっていること」と指摘した。工芸の一大産地である、金沢市にできた工芸館にとって、「訪れる観光客との距離を縮めることが、役割として非常に重要」と話した。

 北陸新幹線の開通後、観光客でにぎわう金沢市だが、やはり東京に工芸館がある場合に比べ、見ることのできる人の数は限られるのでは、という懸念がある。

 この点については、「東京の場合は、人はたくさんいて、実は作家もたくさんいるんですが、産地のイメージがないために現場を見ることは少ないでしょう。でも、こちらに来れば産地もありますし、工房もたくさんあります。工芸館を見て、現場を見に行ける可能性も高い。さらに東京にあった時よりも、周囲にたくさんの美術館があり、素晴らしいお庭があり、より多くの人が来るんじゃないかなと思います」と、金沢の優位性を唱えた。

「発信力が期待されている」との問いかけに、中田名誉館長は巧みに切り返しました。報道陣との一問一答は記事の後半で。

 工芸の魅力として「自然の素材を生かす技術と美しさ」を挙げつつ、「サステイナビリティー」にも言及。「工芸には、自然の素材を生かし長い期間使われる器がたくさんあります。(そうした考えが)育まれているので、将来に向かっての重要な考え方として(人々に)入ってゆきやすいのではないかと思います」と語った。

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 「発信力が期待されているが…

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