「政治主導」だからこそ、説明と対話を 学術会議問題

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聞き手・赤田康和
【ノーカット】任命拒否された6人が意見表明 日本学術会議問題で会見開く
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 日本学術会議が推薦した会員候補6人を菅義偉首相が任命しなかった問題で、6人が23日、日本外国特派員協会での記者会見やメッセージで意見を表明した。自民党政治に詳しい中北浩爾・一橋大教授(政治学)は今回の問題をどう捉え、6人の意見表明をどうみたのか。話を聞いた。

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 1994年に小選挙区比例代表並立制などを盛り込んだ政治改革関連法が成立して以来、「政治改革」の旗の下、政治主導の流れが強まってきた。

 安倍政権では官邸が強大化した。安保法制や内閣法制局長官の人事など、過去の自民党政権が尊重してきた暗黙のルールを壊していった。民意によって政権トップに選ばれた首相が自由に物事を決めて何が悪いのか、という主張を盾に、批判をしりぞけ、国民の支持も調達し続けた。

 今回の菅首相による任命拒否も、政治主導を強めてきた流れの中にあり、もはや権力を行使することへのためらいがなくなってきているのだろう。

 6人の意見表明の要点は、首相の任命拒否が法に違反し、学問が弾圧された戦前の悪夢につながりかねないということだった。これらの指摘はいずれも正論だが、国民に共感が広がらない恐れがある。政党政治が破壊された戦前の体制と、仮にも選挙で選ばれた多数派による政党政治が実現している現在とを並べて論じても、説得力がないと感じる人もいるだろう。

 そもそも学者コミュニティー…

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