地域とみんなとつながる場を守れ 二つの演劇祭の模索
増田愛子
兵庫県豊岡市と鳥取市でこの秋、二つの演劇祭が開かれた。コロナ禍で制約も多い中、ともに地域との結びつきを模索していた。
「豊岡演劇祭」は今年が第1回。約2週間の期間中、公式プログラム11作品に加え、若手中心に公募した23組の自主企画を展開した。来場者数は延べ4730人。フェスティバルディレクターの平田オリザは「観光業の方を中心に、全国から人が来るという成功のイメージをつかんで頂けた」。
交流人口増や人材育成の面で、演劇をまちづくりの核と位置づける豊岡市。中貝宗治市長も、「エンジンとしての豊岡演劇祭の可能性が、はっきりと見えてきました」とコメントした。
確かに駅前にはのぼりが立ち、街頭でも演劇祭の存在が見えた。一方で主要会場は、東京23区が丸ごと入る市域の3地区に分散。地域バランスに配慮した上で、にぎわいを生む難しさも感じた。
そうした中、地域との接点になったのが、屋外中心に行われた自主企画だ。例えば、市役所前の広場で上演した日坂春奈の紙芝居。マスク姿の親子が距離をとりつつ、くつろいで楽しむ姿が印象的だった。
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