「ミュージカル界のプリンス」と称される山崎育三郎が、NHKの連続テレビ小説「エール」で、プリンスこと、歌手の佐藤久志役を熱演している。26日からの放送では、そんな久志が酒浸りの状態から、夏の甲子園の大会歌「栄冠は君に輝く」を歌い上げて復活するまでを描く。「エール」にかける思いを語ってもらった。
――26日からの週では、再び佐藤久志が登場します。久志と言えば、自信たっぷりでキザな言動がトレードマーク。ただ、戦後になり、酒浸りで、歌も歌えない状態で、これまでと全く違った久志を見せてくれそうです。
「あれ、誰?」と言われるような、見た目からして久志とも思えないようなボロボロの姿で登場します。より人間臭い、泥臭い久志をお見せすると思います。全力で取り組みたいと思い、5キロくらいダイエットして撮影に臨みました。
――主演の窪田正孝さん演じる古山裕一は、戦争の責任を感じて曲を作ることができなくなりますが、「長崎の鐘」を書き上げることで、音楽への情熱を取り戻していきました。「暁に祈る」「露営の歌」を歌うなどした久志も戦争を経て、歌えなくなります。戦争を経験した久志を演じるにあたって考えたことはありますか。
作中は細かくは描かれませんが、自分が歌ってきた楽曲がきっかけで、一番は家族の父親がそのことで世間からたたかれ、精神的に追い詰められた後、亡くなってしまうことが原因で歌が歌えなくなります。久志のお父さんは、自分が音楽の道に行くときにも応援してくれ、久志もお父さんが喜ぶ姿をどこかイメージしながら音楽活動をして、報告することが楽しみだった。それが逆に自分が歌ってきたことで苦しめてしまい、精神的にボロボロにしてしまった。それだけでなくて戦争に向かうための楽曲を歌い続けることでどれだけの人を戦地に送り込んだかという責任感もあったかと思います。
――裕一が何度も助けに来てくれ、久志は突き放しますが、球場で「栄冠は君に輝く」を歌うことで久志が復活します。どんな気持ちで歌いましたか。
長せりふで、二人きりで甲子園という設定の球場で久志に投げかける場面があります。その後に久志が黙ってピッチャーマウンドに行ってひとりで「栄冠は君に輝く」の冒頭をアカペラで歌い始めるシーンです。それを歌った時にこの1年間を走馬灯のように思い出しました。
2020年、コロナ禍で色んなことがありました。ミュージカルの舞台が公演中止したり、イベント、コンサートがなくなってしまったり。人前に立つ場所が奪われてしまいました。撮影は夏でした。観客がいない野球場に立って歌った時に、いろんな思いがこみ上げてきてうまく歌えなくなるくらい、気持ちがこみ上げてきました。
実は、「栄冠は君に輝く」に…
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