虚無と郷愁にとらわれた大国 米国の試練から何を学ぶか

有料記事経世彩民

アメリカ総局・青山直篤
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経世彩民 青山直篤の目

 人は生まれ落ちる年を選べない。だが、生まれた世代は、世界のとらえ方に深い影響を及ぼす。カート・アンダーセン氏の取材を終え、そんなことを考えた。「ファンタジーランド:狂気と幻想のアメリカ500年史」(東洋経済新報社)で知られる著名作家だ。

 2017年のトランプ政権発足後に出版された「ファンタジーランド」は、神秘主義や陰謀論に熱狂する米国人の国民的心性が、米国史に深く根差すものだと分析した。「書いているときはトランプ氏が当選するとは考えてもいなかった」(アンダーセン氏)にもかかわらず、トランプ大統領の登場を予期していたかのような本として注目を集めた。

 そのアンダーセン氏が、トランプ大統領を生んだ「もう一つの問題」について考え抜き、新著を出した。「米国の政治経済システムは、なぜこれほどカネまみれで腐敗し、経済的格差が広がったのか」――。本の題は、「Evil Geniuses: The Unmaking of America(悪霊たち:米国の解体)」という。

 1954年生まれのアンダーセン氏は、10年単位で米国の文化を振り返り、ある変化に気付く。音楽、デザイン、車……。「50年代風」「70年代風」などと形容できた「~風」の特色が、90年代から途絶えたというのだ。

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 アンダーセン氏は、常に新し…

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