「コロナ貧困」は明日の私かも…いま支援に回る想像力を

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高橋淳
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 コロナ禍は、手を取り、顔を合わせて取り組む地域福祉の最前線も直撃した。豊中市社会福祉協議会(大阪府)の勝部麗子さんは、「いままで福祉に無縁だった人が困窮に追い込まれている」と話す。現場でいま、何が起きているのか。(高橋淳)

 「最近、公園にホームレスが増えている」。勝部さんが地域の民生委員からそんな話を聞いたのは、緊急事態宣言から2カ月ほどたった5月下旬。早朝の公園に出向き、野宿をしている人を訪ねて回った。「僕はホームレスになって間もないので、人目に耐えられず、夜明けとともに公園を出て街を歩いている」。出会った男性のひとりは、そう話したという。

 「毎月決まってあった収入が突然途絶え、家賃やローンが払えなくなる。普通に生活していた人がストンと社会から落ちてしまう」。人々から当たり前の暮らしを奪う「コロナ貧困」の現実を目の当たりにした。

 ゴミ屋敷やホームレス、子どもの貧困、認知症のお年寄りのひとり歩き、ひきこもり。様々な困難を抱えながら、既存の制度では支援が難しかった人たちを、近隣の住民と協力しながら手助けするのがコミュニティーソーシャルワーカー(CSW)と呼ばれる勝部さんの仕事だ。

略歴

 かつべ・れいこ 大阪府豊中市生まれ。1987年、豊中市社協に入職。2004年、全国初のコミュニティーソーシャルワーカーに。NHKドラマ「サイレント・プア」のモデルになり、監修を務めた。独身で無職の中年の子が、同居する親に生活費を頼るうち社会から孤立する現象を「8050(ハチマルゴーマル)問題」と名付け、支援を呼びかける。現在、同社協福祉推進室長。

「豊中方式」市内にボランティア8千人

 日ごろから人と人がつながり合うことが人の命を救う――。阪神淡路大震災で被災した高齢者の見守り活動が原点となり、勝部さんと社協のスタッフが、住民ボランティアによる支え合いの仕組みを整えてきた。

 取り組みは注目を集め、大阪府が2004年、CSWを地域福祉の専門職として初めて制度化。「豊中方式」は全国にも広がっていった。現在、人口40万人の豊中市内に、社協のボランティアは8千人いる。

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 そんな勝部さんも、この春先…

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