米軍駐留費、非公式協議の背景は 韓国での失敗が教訓?

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編集委員・牧野愛博 ワシントン=渡辺丘
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 来年3月で期限切れを迎える米軍駐留経費負担(HNS)の更新に向け、日米が15日から事前協議を始めたと、朝日新聞など複数のメディアが匿名のソースを根拠に報じた。年末の予算編成まで時間がないのに、なぜ正式ではない「事前協議」として報じられたのか。その背景を探って見えてくるのは、先行する米韓協議から得られた苦い教訓のようだ。

 日米関係筋によれば、日米は、日本側の年末の新年度予算編成までには一定の合意が必要という認識で一致している。15日の協議を明らかにした背景には、「予算編成が迫っているのに、何もやっていない」という批判を避ける狙いがあるという。

 米側代表のウェルトン国務省安全保障関係交渉・協定担当上級顧問は今年夏に就任したが、協議はなかなか始まらなかった。11月3日投開票の米大統領選前に協議が始まれば、米ホワイトハウスの政治介入を招く可能性がある。協議は始めざるを得ないが、あくまでも非公式な接触にとどめたいとの思惑が両政府にあったようだ。

 実際、双方は議題の順序や負担項目などの議論から始め、大統領選までは負担額についてのやり取りは避けたい考えを持っているという。

 現在の特別協定は2016~20年度の5年間、日本が基地従業員の基本給や施設の光熱費などを負担する取り決めで、19年度の負担額は約1970億円。ボルトン前大統領補佐官の回顧録などによれば、トランプ米大統領はHNSなどの負担として年間80億ドル(約8420億円)を日本に求めたい考えを持っていたという。

 ところが、米国はこうしたトランプ氏の意向を踏まえた韓国との同様の交渉で手痛い目に遭った。

「無理は同盟傷つけるだけ」

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