「すべて劣化」したトランプ氏 それでも忠誠を誓う事情

有料記事アメリカ大統領選2020

聞き手 アメリカ総局長・沢村亙
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 19世紀の南北戦争に比べられるほどの根深い相互不信が米国をさいなんでいる。いったい何が分断を生んだのか。トランプ時代がもたらした影響は何か。11月3日の大統領選挙で、手負いの超大国は克服への道を踏み出せるのか。米国そして世界の民主主義と自由主義の変遷を見つめてきた政治学者、フクヤマさんに尋ねた。

 1952年、シカゴ生まれ。日系米国人3世。国務省などを経て、スタンフォード大学フリーマン・スポグリ国際関係研究所シニアフェロー。邦訳書に「歴史の終わり」「アイデンティティ 尊厳の欲求と憤りの政治」など。

 ――トランプ氏の型破りな政治が分断を深めたと指摘されています。大統領に対するチェック・アンド・バランス(抑制と均衡)は機能したのでしょうか。

 「大統領の権力をチェックする責任は議会にあり、政権与党(共和党)にもあります。しかし、それが十分に果たされたとは言えません。その意味で政治制度の弱点が浮き彫りになりました。一方でメキシコ国境の壁建設に司法が何度も『待った』をかけるなど一定の歯止めも利きました。そもそも米国憲政にとって、何より重要な『抑制と均衡』は選挙です。この大統領選は、米国の民主主義の健全ぶりを測る選挙といえます」

 ――トランプ氏に対しては批判的な立場なのですね。

 「4年前の当選時は、大統領に就けば重責を肌身で感じ、研鑽(けんさん)を積むとの期待もありました。現実は正反対でした。政策遂行能力から大統領としての立ち居振る舞いまで、すべてが劣化しました」

 ――それでも多くの国民がトランプ氏を熱烈に支持しているのはなぜでしょう。

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 「米国政治の変容を理解する…

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