息子はねた加害者の笑顔、今も脳裏に 母苦しめる理不尽

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山谷勉
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 15年前、交通事故で亡くなった小学1年生の男の子がいた。当時7歳の熊谷雄宇也(ゆうや)君。生きていれば22歳の青年になっているはずだった。母親(47)が今月7日、秋田県横手市立横手南中学校で講演し、「事故から守れなかったことを後悔している」と癒えない胸の内を語った。

 雄宇也君は、色白で女の子にも間違えられる少し照れ屋の男の子だったという。2005年11月28日午後3時40分。通っていた横手市内の小学校からの帰り道、家まですぐの道路を渡る途中で車にはねられた。17メートル飛ばされ、重体になり、次の日の朝に意識が戻らないまま亡くなった。現場にブレーキの跡はなかった。

 「ふつうに元気に『行ってきます』と出ていったきりで、『ただいま』と帰ってくることはありませんでした」。心の準備もなく、突然に来た別れが、家族にとって一生続く深い悲しみとなっている。「保育園や小学校を過ごしてきた同級生は成人式を迎え、大人になっていくのに、自分の息子はいつまでも小学1年生のまま」

 また加害者の判決後、裁判所の外で見た加害者の笑顔に、なぜ大切な家族を奪われた側は泣き寝入りをしなければいけないのかと、さらに苦しむことになった。「車もナイフも同じなのに、交通死亡事故の罰は軽い。こんな世の中でいいのかと全てから見放された気持ちになりました」

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 子育ての苦労はあっても、笑…

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