駅ナカで、カラオケ店で 「貸しオフィス」コロナで急増

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細見るい 志村亮
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 最近駅の中で大きなボックスを見かけませんか。いつでもまわりの目を気にせず仕事ができる「箱形オフィス」が急増しています。シェアオフィスやカラオケボックスの仕事利用も定着してきました。多くの企業がテレワーク向けサービスを始めていて、コロナ禍は新たな商機を生んでいます。

 「オンライン面接を受けるのは自宅や喫茶店では難しいから助かります」

 転職を控えた東京都中野区の柿島正樹さん(40)は10月上旬、西武鉄道・高田馬場駅にある個室型オフィスの「テレキューブ」を試しに来た。

 乗り換え客などが行き交う駅の通路にタテヨコ1メートル、高さ2メートルほどの大きな箱がある。スマホ画面を操作するとドアが開く。中には机とイスがあり、パソコンを使えるように電源も用意されている。外の音はほぼ聞こえず、駅ナカでも集中しやすい。換気ファンなど感染対策も施されている。柿島さんはパソコンに向かい、10分ほどかけて通信環境などを確かめた。

 テレキューブの運営会社は、テレビ会議システムのブイキューブ、オフィス器具のオカムラ、三菱地所などが出資して昨年8月にできた。駅ナカやオフィスビルのエントランスなどに、個室型オフィスを設置してきた。今年9月末までに、東京や大阪市名古屋市などの52カ所、計87台に達している。2023年までに1千台へ増やすという。

 JR東日本も駅など30カ所(9月末時点)でシェアオフィス事業を展開している。そのうち12カ所で計36台の箱形ブースを置く。広報によると会員は約4万2千人で、日中の時間帯は予約が取れないブースも出てきている。シェアオフィスは25年度までに全国の1千カ所まで増やすという。

 富士ゼロックスが運営するプライベートオフィス「CocoDesk(ココデスク)」は、東京メトロ京浜急行の駅ナカなど都内と川崎市の21カ所に計40台ある。大阪市や名古屋市などへも広げる方針だ。

 10月初め、IT企業営業職の男性(42)が東京メトロ大手町駅のココデスクを訪れた。営業の合間にオンライン会議に参加するためだ。男性は「会社に戻らずにすみ移動時間が短縮できた」と話す。

 富士ゼロックスによるとサービス開始の2月に約60分だった平均利用時間が、いまは約70分まで延びているという。担当者は「リモートワークになり、自宅ではゆっくり仕事ができないという人が使い始めているのかもしれない」という。

 利用料金は各社とも、個人会員なら15分間で税抜き250円ほど。法人会員の割引もある。

マンションの共用部に「個室」も

 自宅内では集中しにくい人向けに、マンションの共用部に仕事用の「個室」を用意する動きもある。日鉄興和不動産は、12月に完成予定の分譲マンション(東京都板橋区)に設置することにしている。

 労働組合の中央組織・連合の6月のネット調査では、テレワークをした1千人のうち8割超が今後も続けることを希望すると答えた。利点を複数回答で聞いたところ「通勤がないため時間を有効に利用できる」が全体の7割強だった。

 一方で、問題点も浮かび上がる。「仕事とプライベートの時間の区別がつかなくなることがあった」は全体の7割強。小学生以下の子どもと同居している人の8割が「子どもが家にいるときのテレワークに難しさを感じる」とした。こうした課題に対応するため、箱形オフィスの需要は高まりそうだ。

本業は逆風、カバーめざし新規参入

 テレワークをめぐるビジネスは競争が激しい。コロナ禍で増えた需要を取り込む動きに加え、本業の不振をカバーしようと新規参入する企業も相次ぐためだ。

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