二つのハンコ、結婚して実感した不条理 菊間千乃さん

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聞き手・田中聡子 聞き手・稲垣直人 聞き手・篠健一郎 田中聡子
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 新型コロナ禍で在宅勤務が広がった4月、本紙「論の芽」で、私たちの暮らしのさまざまな場面でハンコが求められる理由を探りました。菅義偉政権の下で「脱ハンコ」の動きは加速していますが、少し性急過ぎる気もします。じっくりハンコの功罪を考えます。

元アナの弁護士・菊間千乃さん 「お気に入りの印鑑ですが」

 私は、結婚で姓を変えなければいけない戸籍制度と、ハンコの問題を切り離して考えることはできません。

 6年前に結婚した後も、私は仕事では「菊間」姓を使っています。戸籍上の姓は異なるため、「菊間」と戸籍姓の二つのハンコを、事情に応じて使い分けています。

 仕事のときはすべて、「菊間」というわけではありません。役員を務める企業などでは、戸籍姓の署名とハンコを求められるケースがあるからです。どちらか分からないときも多く、「これ、菊間でいいですか?」としばしば確認しています。

 私にとって、ハンコとは、二つの姓を使い分けねばならない「不条理の象徴」のような存在ですね。

 結婚前は、姓が変わることにためらいはありませんでした。学生時代は好きな人の姓に「千乃」をつけて楽しんでいました(笑)。20代の頃、「夫婦別姓がいいから」と事実婚を選んだ友人を見て「そんなにこだわることかな?」くらいに思っていました。

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 ところが、いざ自分が結婚し…

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