椎名林檎を生んだ亀田誠治P、母が口ずさんだ子守歌とは
椎名林檎、平井堅、スピッツ、GLAY、いきものがかりら数々のアーティストをプロデュースし、ヒット曲を生み出してきた亀田誠治さん(56)。日本のポップミュージックをリードする音楽プロデューサーには、「自分の人間力を作ってくれた」と心の奥深くに刻まれている歌声がある。
赤ちゃんの時から、寝かしつけのひとときには、母がいつもシューベルトの旋律に合わせて歌った。「誠治はいい子です」。この歌詞を繰り返し、繰り返し。確か、小学生の頃まで。存在を包み込んで肯定するこの言葉は、自分の中に染みついている。
常に「あなたはどう考えるの?」
機会あるごとに「いい子」「自慢の息子」と母は口にし、信頼を寄せた。同時に、自分で考え行動することを尊んだ。
欲しいものをねだる際に「みんなが持っている」と言っても首を縦にはふらない。「みんながいいからではなく、自分がいいと思うものを選びなさい」。常に「あなたはどう考えるの?」と問われた。
音楽に魅せられ、高校生の時には自室に電子ピアノやテープレコーダーなどをそろえた。機材を置く適当な台がなく、クローゼットの扉を外しベッドの上にわたして場所を作ったら、あきれも怒りもせず、「素晴らしいアイデア! よく考えたね」と褒めてくれた。音楽の道に進みたいと志を打ち明けた時、父は大反対したが、母は支持した。思えば、自分の行動を否定されたことは一度もなかった。
独立自尊の教えは、ミュージシャンと共に作品を作り上げる今の仕事に生きている。「アーティストには、心からの言葉でなくては通じない。無難で付け焼き刃な対応は見抜かれてしまう。人を基準にせず、自分自身が考えることを伝えないと」
「あ」の音が多い言葉はリラックスする
レコーディングで歌手が緊張して声がうまく出なくなっていたら、「おかあさーん」と言ってみて、と促すことがある。「『あ』の音が多い言葉は心がリラックスすると聞いたんです。不思議と自然に笑いが出る」
人生で大切にしている言葉は…
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