第1回言えなかった「子宮がない」 結婚4年、妻の告白に夫は

有料記事子宮がない 家族の選択

水戸部六美

生まれつき子宮と腟が欠損している女性たちがいる。約4500人に1人。がんなどで後天的に子宮を失った女性もいる。20~30代で国内に推計5万~6万人。子宮がない女性たちは、子を持つという選択とどう向きあってきたのだろうか。

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 今年2月、北海道内のマンションの一室で女の子(3)が元気に走り回っていた。「最近、自己主張が強くって大変」。そう言いながらも、女性(35)の表情はやわらかい。「本気で叱るし、ケンカもするし、お互い自分をさらけ出して生活しているかな」

 女性は生まれつき子宮がない。2017年に女の子の里母となり、19年4月、特別養子縁組で「母」となった。

 「腟(ちつ)が見当たらない」。初経がこず、受診した近所の病院の内診台で医師から告げられたのは、高校1年のときだ。1年後、大学病院で精密検査を受け、生まれつき腟や子宮がない「ロキタンスキー症候群」と診断された。

 「(自分の体は)友達とは違うんだ。子どもが産めないんだ」。涙ぐむのを励ますように、担当の女性医師は、腟は手術でつくれること、卵巣はあるので海外で代理出産の選択肢があること、将来的には国内でも代理出産が可能になっているかもしれないことなどを教えてくれた。

 大学2年の夏休み、腸の一部を切り取って、腟をつくる手術を受けた。医師からは少しだけ通常の腟よりは短いと説明を受けた。当時、付き合っている人がいた。初めての性行為は、痛みの印象が1番大きかった。それでも、やっと好きな人の欲求に応えられた、という思いでいっぱいだった。

 23歳で就職した。金融機関の営業職。1年後、訪問先の顧客として、ある男性(38)と出会った。堅い職業だけれども、明るくて、話しやすい。息が合って、仕事抜きで、食事にいくようになった。

 つきあい始めて1年ほどが経ち、結婚を意識するようになった。すると、ある悩みが訪れた。「この体では結婚できない。彼にとって自分とつきあっている時間は無駄なんじゃないか」

「この体では結婚できない」 別れるつもりで

 別れを切り出すつもりでメールを送った。「子どもができない体なんだ。これ以上、一緒にいることはできない」

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 その夜、仕事を終えた男性が…

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