山形市の東北芸術工科大学内のギャラリーに設けられた、観客のいない展示会場。現代美術の作品群が並ぶ中、一対の木彫りの風神雷神像が展示されていた。手術台のような机に横たわる雷神、「駕籠(かご)」のような箱の中に納められた風神。ところどころ黒ずんでいたり、片足が外れていたり――。2体は大江町の廃村で「発見」されたものだ。

 主にオンラインで開催されていた「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2020」の企画の一つ「現代山形考~藻(も)が湖(うみ)伝説~」に出品された。手がけたのは、画家の三瀬夏之介さん(47)、文化財修復家の宮本晶朗さん(43)らでつくるグループ「現代風神雷神考」。三瀬さんたちは、朽ちかけた像を通じてこう問いかける。

 廃村や限界集落に取り残され、管理が行き届かなくなった地域の文化財にどう向き合うべきなのか――。

 江戸時代後期に作られたとみら…

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