「特別扱い」アビガン、専門家はどう見る 来月にも承認

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真海喬生 江口英佑 月舘彩子 編集委員・辻外記子
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 新型コロナウイルスの治療薬候補「アビガン」について、富士フイルム富山化学は16日、厚生労働省に製造販売の承認を申請した。今後、厚労省が審査する。承認されれば日本で開発された薬では初となる。ただ動物実験で胎児に奇形が出るおそれがあるとわかっており、妊娠中やその可能性のある女性らには使えない。

 田村憲久厚労相は16日の閣議後会見で承認について「緊急事態なのでなるべく早くということは認識しているが、有効性、安全性が確認できないと承認できない。しっかりと精査する」と話した。政府関係者らによると、11月にも承認される見通しだ。

 アビガンをめぐっては、当初から政府の前のめりな姿勢が目立った。感染拡大防止を前提としつつ社会経済活動を回復させようと急ぐ中で、ワクチンと並び重要視するのが治療薬の開発だ。5月の記者会見で当時の安倍晋三首相が「今月中の承認をめざしたい」と発言。だが国内の感染者数の減少で臨床試験(治験)の参加者が想定どおり集まらず、申請には首相発言から5カ月かかった。

 治験には156人が参加した。アビガンを使った場合、解熱や肺機能の改善が進み、PCR検査の結果が陰性になるまでにかかる日数の中央値が11・9日で、偽薬をのんだ患者より2・8日短くなった。富士フイルム幹部は「結果は100点満点ではない。特効薬とまでは言えない」と話す。

 アビガンは新型インフルエンザ治療薬として承認を受けており、一部の病院で患者の希望と医師らの判断で使える「観察研究」という枠組みで新型コロナ患者にも使われている。新型コロナにも適応拡大されれば、いまより多くの患者に使える可能性がある。(真海喬生、江口英佑)

専門家、疑問の声も

 アビガンは、細胞に入ったウイルスの増殖を抑える。使う対象者は軽症者らが想定され、早期に使うことでウイルスが増えず、重症化予防につながると期待する声が上がる。一方、数日早く熱が下がることなどにそれほど意味があるのか、疑問視する声もある。

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